ブルゴーニュを代表するドメーヌであり、愛好家垂涎のワインを生み出す生産者で、通称「DRC」と呼ばれる。DRCのリリースするワインはすべてグラン・クリュ。ヴォーヌ・ロマネの赤6種に、白のモンラッシェが加わる。(ヴォーヌ・ロマネのプルミエ・クリュとバタール・モンラッシェも所有するが、通常はドメーヌで瓶詰めされない。昨今巷を騒がせている「Vosne Romanee 1er Cru Cuvee Duvault-Blochet 1999」は例外。)ここについては、お題目にて詳説していますので、参照して下さい。 | |
各ワインの所有面積と平均年産は以下の通り。 ロマネ・コンティ (1.80ha、DRCモノポール) 年産約5,700本 ラ・ターシュ (6.06ha、DRCモノポール) 年産約21,500本 リシュブール (3.51ha) 年産約10,000本 ロマネ・サン・ヴィヴァン (5.29ha) 年産約18,000本 グラン・エシェゾー (3.53ha) 年産約10,000本 エシェゾー (4.67ha) 年産約14,000本 モンラッシェ(0.68ha) 年産約3,000本 |
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94年 : 94年は90年代で最も難しいと思っているヴィンテージで、実際に頂くまでは、ロマネ・コンティへの期待とヴィンテージへの不安が交錯していました。 83年 : 初めて飲んだ「ロマネ・コンティ」。誰もが認めるブルゴーニュの宝石、あらゆる賛美の言葉を使い、賞賛されるワインの王様。1983年のロマネ・コンティ、収穫日は10月3日、生産量は3867本です。エッジはややオレンジがかり、全体的に深い赤紫から、茶褐色に移行しつつあります。驚く事に、83年にもかかわらす、大変高い酸、そして力強さと深さを感じます。ただ、約2時間もの間、まったく開いてくる様子を見せない香りに困惑。このワインはまだ、熟成が必要なのか?それとも。。。 |
94年 : やはり94は熟成が早いようで、ルビーがやや白っぽい色合い。すでにケモノ香、ドライなバラの香りが出始めており、時間が立つとうっすらとバニラ香を感じる柔軟な印象。しかし果実自体はDRCとしては物足りなく、乳酸っぽい味わいの後、酸が主体となる。 91年 : 開き始めた時期だったと思う。深い色合いをした91年の外交的なアロマは、濃縮感のあるブラックベリーやシロップ漬のフルーツ、薫香、黒胡椒、そしてDRCらしい香水のような香りも出始めている。ボディも肉感的で、目の詰まったなめらかな味わいにミネラルが溶けています。俗にいわれる「ラ・ターシュらしさ」のあるワインでしょうし、ブルゴーニュの1991というヴィンテージももっと注目するべきと感じた一本。(インポーター:サントリー) 80年 : このワインは、友人が仕事の展示会で、日当たりの良い陳列ケースに入っていたのを見て、別のワインと交換して持って帰ったという曰く付き(笑)。なので状態に不安がという事だったが、なかなかのもの。淡いルビーになったワインは、杏やオレンジピール、キノコの熟成香。ボディの強さは抜けていますが、旨味のある果実が残っていたと思います。 72年 : なかなか飲めない70年代DRC。このラ・ターシュは素晴らしいものでした。ドライローズや香水のようなブーケは、複雑にして純粋、芳醇にして華麗。リキュール的で口中に染み入るような味わいと余韻は、多分DRCでしか体感できないものなのでしょう。あれこれ語る必要のない銘酒、出会えたことに感謝。(ピーター・ツーストラップ・ラベル) |
92年 : 1992年の生産量は12477本。「百の花の香りを集めてきたような」と形容される香り。うまい表現をするものです。さすがにワインを飲み慣れない人も「いい香り」と納得。そして名前の通り、果実味に溢れるリッチな味わい。ただ、92年ながらまだまだ酸味が強く、私は1時間待って飲んでみたのですが、開ききらなかったように思います。もう一度飲んでみたい1本となりました。 89年 : エッジにようやくオレンジが見える程度の深いガーネット。レッドベリーとプラムのコンフィ、ザクロ、樹の植物的なアロマ。時折まざる動物的な熟成香もわずかで、気の強い女性といったところ。しかし太目の酸がきっちりと主張する骨格、堂々としたストラクチャー。まだまだ熟成させたい状態。 82年 : このヴィンテージにして「リシュブール」という名にふさわしい豊潤なワイン。依然若さのあるクリアーな色合いで、チェリーの甘さ、トリュフ的なキノコとフラワリーなブーケ。味わいもしっかり保たれており、まるでフランス美人が香水をふりまきながら、ゆったりと歩いている姿に惚れそうなワイン。(ピーター・ツーストラップ・ラベル) |
98年 : 非常に艶やかなガーネットをした98年は、濃縮感のある赤から黒の果実を中心に、トースト、バターといった樽からのアロマ、そして紫の花とミネラルの交じる食欲をそそる香り。果実の奥に甘さを備え、酸とタンニンのバランスがきっちりとした輪郭を与え、余韻もきれいにまとまる。芳しさと強さも兼ね備えた偉大なサン・ヴィヴァンになるような気がします。 93年 : 濃度のあるガーネット。赤いチェリーとプラムに、木の茎、ブラックスパイス等の複雑なアロマ。軽くバニラ香があるものの、全体的に閉じた感じのベジタブルな印象。また成長期といった表情で、余韻のタンニンに収斂性も感じる。かなり時間がかかりそうなサン・ヴィヴァン。
83年 : ドライフルーツやオレンジ・ピール、ほんのりとジャム、焦し砂糖のアロマを残し、芳醇なブルゴーニュの良さを感じるワイン。味わい自体は軽やかで、グラスに注いで長くもたないのですが、落ちる寸前にフワッと花が咲くような甘苦系の果実が心に残る一本。 74年 : 香り、味わい、そして余韻まで茶色で統一された質感。紅茶、なめし革、腐葉土、トリュフといった熟成されたブルゴーニュに求める要素がグラスを満たす満足感。今にも終わりそうな果実なのに、前面に出ることのない酸がずっと味わいを支えているかのよう。古酒らしい古酒という意味では、非常に好みで印象的。 |
88年 : 下記の89エシェゾーと一緒に頂く事ができました。2本とも、ブルゴーニュとして、凝縮されたワインである事が分かる深いガーネット色、それは未だに活々としています。ややグラン・エシェゾーの方が、濃く感じたのですが「これは先入観によるものかもしれない」と思ったほど、大きな差はありません。また、どちらも約1時間前に抜栓しデキャンタージュ、魅力を感じ始めたのは、2時間以上経ってからでしょうか。当然、双方には共通するイメージがあり、スパイス、プラムやカシス、そこにコーヒーやトーストされたオークの燻した感じが品良く加わります。 86年 : 86年というブルゴーニュではやや難しい年とされるヴィンテージにして、あくまで黒に近い果実と、気品のある酸味がワインに個性を与えています。緊張感のあるワインは、まだ熟成を続けているのかもしれません。 77年 : 77のブルゴーニュは、オフ・ヴィンテージ。しかしながら、「深い森を散策する夢見る貴族」と称されるグラン・エシェゾー、名手の造るワインは、まったく関係ないようにさえ思えます。十分な熟成による芳醇な香り、滑らで優しいタンニンが、とても心地よい。しかしながら、フィニッシュには、厚さを感じます。さすがDRCと言える一本。 72年 : 72のブルゴーニュは好印象のものも多いのですが、このグラン・エシェゾーは難しいワイン。状態は悪く思わなかったのですが、ブーケ、味わいともにややリーン。時間が経つとイチヂクのような甘さもありましたが、DRCとしては印象がうすかった。 |
98年 : あるワインバーでサービスされたこのワインにはちょっと困惑した。ジンファンデルのような梅っぽい甘酸っぱさを持ち、若いヴィンテージなのにリキュール的でふくらみを感じない。「あまりDRCぽくないですね」というと「そうなんですよ」とソムリエ氏もおっしゃっていた。閉じた時期かもしれないけど、ちょっと?マーク。 96年 : 実はこのワイン、カリフォルニアの優れたピノ・ノワール生産者として有名なカレラの単一畑4本(ジェンセン、セレック、リード、ミルズ)そしてオ・ボン・クリマの2本(イザベル、ピコ&リンコン)と共にブラインドで頂いた物。このテイスティングにおいて、多くの方がどのワインがDRCか判断がつかなかったのは、カリフォルニアワインの秀逸さを物語っているのかもしれませんが、このエシェゾーの品質に関しても文句のつけようはありません。鮮やかなガーネット色のまだまだ若々しさを残した強い果実ですが、スパイス、バニラといった風味より、まず感じたのが甘い苺のジャミーな香り。細やかなタンニン、ジューシーですでにバランスのとれたワインは、今飲んで美味しい。カレラ、オ・ボン・クリマと一緒に飲んでみて下さい。面白い発見があると思います。 95年 : DRCのワインとしてはやや明るめの綺麗な色調のワインは、スパイシーで果実のエキスが口中に広がる華麗さ。果実感、酸味、渋みが見事にまとまったワインはこんな若いヴィンテージにして十分。DRCの個性、エレガントな甘さと酸っぱさが共存する香り、そしてワインを取りまとめる酸味。ブルゴーニュのフィネスなのでしょう。 89年 : 上記の88グラン・エシェゾーと一緒に。時間と共に、熟した赤い果実の甘さを感じ、より親しみやすさを覚えます。果実味、タンニン共に芳醇で繊細、しかしグラン・エシェゾーよりはマイルドでバランスが良い。今まさに、飲み頃に入ったという時期なのでしょう。多分、今飲んでやっと美味しく感じられるエシェゾー、もっと置いて更なる偉大さを感じさせてくれるグラン・エシェゾーだったように思います。この2つのヴィンテージ、畑の差を垣間見た、貴重な体験。 88年 : エッジにレンガの入る綺麗なルビー。プルーンやリキュールの甘さを中心とした心地よく華やかな果実香。酸とタンニンの要素を、滑らかな果実感がオブラードのように包み込むワインは、時間と共にふくらみを増します。飲み頃を思わずまとまりの良さ。これから数年のうちに飲むととても美味しいと思う。 83年 : 熟成のよる香水のような華やかでクリアーなブーケはまさにDRC。人なつっこい調和のとれたボディは、全体的にこじんまりしているけれど、しなやかな余韻を持ち良い状態。83年はDRCにとっても難しかったといわれるけれど、ちゃんと美味しい。 |
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ブルゴーニュの白ワインの中でも、最も高貴なワインとされるのがモンラッシェ。アレキサンドル・デュマが「脱帽し、跪いて味わうべし」と言った話はあまりに有名。 |