April 2004

Real Wine Guide
テイスティング・レヴュー番外編掲載ワイン


今回の「味わいのあるワイン」はリアル・ワイン・ガイド誌(Vol.2〜Vol.5)に掲載して頂いたテイスティング・レヴューをご紹介致します。

Ch. Lafite-Rothschild '00
Marojallia '00
Chambolle-Musigny Les Fuees '96 / Jacques-Frederic Mugnier
Musigny Blanc '91 / Domaine Comte Georges de Vogue
Savigny-Les-Beaune Les Peuillets '99 / Maurice Ecard et Fils
Chateauneuf-du-Pape "Chateau de Beaucastel" '96
Chateauneuf-du-Pape Cuvee Laurence '95 / Domaine du Pegau
Jurancon Sec Mythologia '00 / Primo Palatum
Grange des Peres (Vin de Pays de l'Herault) '98
Taittinger Collection '88
Salon '95
Jacques Selosse Brut Rose
Opus One '98
Aardvark Pinot Noir Carneros '00
Henschke Hill of Grace '88
d'Arenberg The Dead Arm Shiraz '01
Weingut Velich Chardonnay "Tiglat" '99
Katsunuma Wine Kosyu '01



France / Bordeaux


Ch. Lafite-Rothschild
シャトー・ラフィット・ロートシルト
ポイヤック (CS70,M15,CF13,PV2)
('00 プリムール)

 メドック格付け第1級の中でも筆頭の位置を務める銘酒中の銘酒。コンティ王子とのロマネ・コンティの畑の取り合いをしたことでも知られるマダム・ポンパドールが晩餐の席で欠かさなかったと言われるのが、このラフィット。1級格付けの中で、最も広い100haの畑から約25000ケースのワインが生まれます。
 RWG4号にて掲載済みで恐縮ですが、個人的な試飲ではその評価を凌ぐラフィットだと思う。濃度や強度というにはあまりに平易な、一流の経営者が持つ研ぎ澄まされた感性と内から湧き出るポジティブなエネルギー感。かつ決して自閉的ではなく、黒々とした果実、練れたタンニン、ミネラルと酸が見事に均衡を保ち、現時点でも十分に飲む喜びを感じさせてくれる。これがボルドー・ビッグ・ヴィンテージなのだと改めて実感する一本。【D:2004 P:94】[Real Wine Guide Vol.5 掲載]
(メドック格付け第1級 : Ch. Lafite-Rothschild


Marojallia
マロジャリア
マルゴー 赤 (CS55,M45)
('00 \22,000)

 このワインを手掛けるのは、シャトー・シトランで働く父を持ち不動産業を営むポーショロン氏と、ヴァランドローの共同経営者でトゥヌヴァン氏の奥様ミュリエル夫人。マロジャリアの畑2.5haはル・テルトルとモンブリゾンの中間に位置し、以前はACマルゴーを生産していた前オーナーから、ポーショロン氏が1998年に畑を買い取り、ミュリエル夫人と共に更に高品質なワインを目指した。ミシェル・ローラン氏のコンサルタントのもと、夫人はヴァランドローで培ってきた経験を十分に発揮、25hl/haという低収量、フリーランジュースのみ使用し、新樽100%で18〜24ヶ月熟成。年産約6000本、1999年初ヴィンテージ。「マロジャリア」とは「マルゴー」のラテン語読み。
 マルゴーに「ガレージ・ワイン」という言葉の響きは似合わないが、中身も既存のマルゴーとは一線を画している。熟したカシスにミルクコーヒーとスパイス。フリーランと分かる柔らかなアタックと浮遊感のあるシルキーなテクスチャー。オークが効いている分、現時点で果実がぼけて感じるのはご愛嬌。土地の味よりもテュヌヴァン、M.ローランという顔の見える近年の右岸スタイルだが、感覚的には最上級といわれるカリフォルニアにも近い。【D:2004 P:91】[Real Wine Guide Vol.5 掲載]


France / Bourgogne


Chambolle-Musigny Les Fuees
シャンボール・ミュジニー・レ・フュエ
シャンボール・ミュジニー 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \7,200位)

 ミュニエ家はこの村でヴォギュエ家に次ぐ大地主。偉大なる3つの畑、ミュジニー(1.13ha)、ボンヌ・マール(0.35ha)、アムルーズ(0.52ha)を持ち、現在は5代目となるフレデリック・ミュニエにより精力的に運営されています。このフュエには0.71haを所有。新樽は約25%ということ。
 この手のスタイルは好みだなぁ。新世界にも似た大きめの果実、密度よりも安心感を優先させるゆったりとした全体像。かつブルゴーニュならではの足の長い酸による甘酸っぱいジュース。プルーン、マンゴーにドライなバラ、ウーロン茶の熟成香。まだ若さのあるヴィヴィッド・ルビーのワインは、今からが飲み頃。【D:2003 P:92】[Real Wine Guide Vol.4 掲載]
(ジャック・フレデリック・ミュニエ : Jacques-Frederic Mugnier)プルミエ・クリュ


Musigny Blanc
ミュジニー・ブラン
シャンボール・ミュジニー 白 (Ch100%)
('91 \-)

 シャンボール・ミュジニー村で最も尊重される旧家、コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ。すべての畑はシャンボール・ミュジニー村にあり、ボンヌ・マール、ミュジニーといったグラン・クリュの多くを所有。ミュジニーには、7.2haもの自社畑を持ち、その中のわずか0.4haにはシャルドネが植えられ、ミュジニーの白ワインを産出しています。コート・ド・ニュイで唯一のグラン・クリュ格付けの白ワインであり、ワインファンにとっては幻の逸品。
 ミュジニー・ブランって本当に美味しいのだろうか?、、、そんな危惧など必要なし。丸い、とにかく引っかかりがない。緑がかる外観と青草さえ感じる若めのアロマと柔らかなミルク&ハニーの味わい。口中での圧倒的な存在感の背後に低く保たれた酸、余韻のエレガントなミネラルに心奪わる。そのレアさにではなく、ワイン自体を誉めるべき。【D:2003 P:95】[Real Wine Guide Vol.2 掲載]
(ドメーヌ・コント・ジュルジュ・ド・ヴォギュエ : Domaine Comte Georges de Vogue)


Savigny-Les-Beaune Les Peuillets
サヴィニー・レ・ボーヌ・レ・プイエ
サヴィニー・レ・ボーヌ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \3,600位)

 サヴィニー・レ・ボーヌのテロワールが味わえるモーリス・エカール。自社畑のプルミエ・クリュは樹齢の古いブドウ樹(30〜50年)が多く、またひとつの畑が2〜3haとこのアペラシオンにしては広いため収穫量を抑えても一定量の良質なワインを造ることが出来るという。徐梗をせず、発酵段階で35度まで温度を上げしっかりと色素を抽出、充分なルモンタージュ(発酵槽の中での果帽の攪拌)を行う。通常新樽は25%、14〜18ヶ月の樽熟後に瓶詰め。赤のプルミエ・クリュが5ッ(レ・ナルバントン、レ・ジャロン 、ル・セルパンティエール 、レ・プイエ 、レ・クルー)、そしてオー・ジャロンの畑からはピノ・ブラン100%の白ワインを生む。
 プイエの畑はボーヌ側にあり、マルコネの下、ナルバントンと隣り合う東向きの斜面。樹齢は35年以上。中程度のルビーレッド。抜栓直後のしとやかなチェリー系アロマから、見事に焦点のあったワインに変化する。ルロワのナルバントンを彷彿とさせるシルキーなテクスチャー、そこはかとない深みとピノの色気が詰まっている。
 多くの評論家が「作為を感じない」という意味がよく分かる。流行に迎合することのない実直なワイン。絶対にワイン会などには持っていかないこと。自分だけのために一本、ゆっくり味わいたい。【D:2002 P:91】 [Real Wine Guide Vol.2 掲載]
(モーリス・エカール : Maurice Ecard et Fils)



France / Rhone, Loire etc.


Chateauneuf-du-Pape "Chateau de Beaucastel"
シャトーヌフ・デュ・パプ "シャトー・ド・ボーカステル"
シャトーヌフ・デュ・パプ 赤 (グルナッシュ、ムルヴェードル、シラー他)
('96 \6,500位)

 シャトー・ド・ボーカステルを所有するペラン家はシャトーヌフ・デュ・パプを代表する造り手。ジャン・ピエールとフランソワ兄弟が、それぞれ営業と醸造を担当。シャトーヌフ・デュ・パプで認定されているブドウ品種13種が植えられ、混醸によるワインの複雑性を主張しています。また30年以上に渡って無農薬を実践する有機栽培の先駆者で、硫黄の添加を抑えるために、収穫されたブドウを瞬時に加熱する「ショファージュ・ド・ヴァンダンジュ」という技法を用いることでも有名。大樽で8〜18ヶ月の熟成。
 飲み頃に入ったボーカステルは旨い!内から湧き出る甘みは、まるで洋菓子店に居るかのようで、様々な赤や黒のフルーツ、黒砂糖、甘草、なめし革、ミネラルといった重層的な香りが飲み手を誘う。丸い余韻と野趣のある味わいは、大きくはなくとも十分な存在感。96を持っている人は待った甲斐がある。【D:2003 P:91】[Real Wine Guide Vol.3 掲載]
(シャトー・ド・ボーカステル : Chateau de Beaucastel)


Chateauneuf-du-Pape Cuvee Laurence
シャトーヌフ・デュ・パプ・キュヴェ・ローランス
シャトーヌフ・デュ・パプ 赤 (グルナッシュ、ムルヴェードル、シラー他)
('95 \8,000位)

 パプの5ッ星生産者ペゴーは主に父のポール・フェローが葡萄栽培を受け持ち、娘のローランスがワイン造りを行っています。生理学的に成熟したブドウ、収量は低く、ポールとローランスが瓶詰め時期だと決定するまで、大きなフードルの中で発酵後の澱に触れたままにし、So2の添加は極力抑えられ、清澄・濾過せずに瓶詰め。
 ペゴーの上級キュヴェ「ローランス」は良作年だけに造られ、4〜6年という長い熟成を経てリリース。ほんのりオレンジの入るルビー色で、すでにピノ・ノワールに似た心地よい熟成香とブラック・チェリー、火薬、スパイス。飲み口は軽めだが、層をなすエキス分と余韻にかけてのパプらしい漢方、リコリス、ミネラルの味わいがローヌファンには嬉しい。抜栓後2時間が最高、濃ささえ期待しなければ、まだ熟成させてもいい。【D:2004 P:89】[Real Wine Guide Vol.5 掲載]
(ドメーヌ・デュ・ペゴー : Domaine du Pegau)


Jurancon Sec Mythologia
ジュランソン・セック・ミトロジア
ジュランソン 白 (プティ・マンサン100%)
('00 \7,300位) 

 醸造家グザヴィエ・コペル氏がボルドーに96年に設立し、一気にブレイクしたスーパー・ネゴシアンがプリモ・パラテューム。コペル氏はトゥールーズ大学の醸造学を学んだ後び、フランス国内のトップ・レベルを誇るワイン生産者たちを直に訪問、話を聞くことに時間を費やす中、優秀な生産者や、素晴らしい条件の揃った畑が南フランスに集中していることを知り、各アペラシオンの栽培家と契約、密に協力し合い出来上がったワインをリリース。使用する葡萄は、各栽培家の畑で育った樹齢50年以上の古樹、最上の区画から収穫された完熟ブドウを低収量で収穫、さらに徹底した選別を行う。一部の白ワインとポートを除き、全てが新樽でシュールリー熟成、赤ワインはマロラクティック発酵も新樽で行われます。「プリモ・パラテューム」とは、ラテン語で「最初の味」「全てに先に絶つ味」という意味だとか。
 黄色フルーツやリンゴのコンポートのアロマは、コトー・デュ・レイヨン辺りを連想させる上品で冷ややかな甘さを伴う。ピリッとした辛さを持つ果実はグリップと余韻の長さが抜群で、透明感のある酒躯。しかし、このACでこの価格はマニア向けとならざるを得ないだろうが。【D:2003 P:90】[Real Wine Guide Vol.3 掲載]
 なお「Madiran Mythologia 2000」「Vin de Pays d'Oc Mythologia 1999」「Bordeaux 2000」も頂きましたが、どれも素晴らしい出来。価格が高い事以外は文句のつけようのないもの。
(プリモ・パラテューム : Primo Palatum)


Grange des Peres (Vin de Pays de l'Herault)
グランジュ・デ・ペール (ヴァン・ド・ペイ・ド・レロー)
ラングドック 赤 (シラー40%、ムールヴェードル40%、カベルネ・ソーヴィニオン)
('98 \6,200位)

 ラングドック最上の生産者と言われ、絶大な人気を誇るグランジュ・デ・ペール。オーナーのローラン・ヴァイエ氏は、一年間ブドウ栽培に適した土地を探し、ラングドック・エロー県のドーマス・ガサックの近くの土地を購入。シラー、ルーサンヌ、マルサンヌはエルミタージュのジャン・ルイ・シャーヴから、カベルネ・ソーヴィニヨンはプロヴァンスのトレヴァロンから樹を分けてもらったという。初ヴィンテージは1992年。7.3haの畑から20hl/haという低収量、足によるピジャージュ、4〜6週間に及ぶ長期間発酵、さらに18〜24ヶ月の樽での熟成。
 ある友人が「パリで飲んで思いっきり恋に落ちた」と語ったワイン。飲み飽きのこない辛口の味わいは、杯を重ねる心地よさにそのポテンシャルを見逃してしまいそう。若干の還元香に小粒の香辛料とハーブ。澄み切った純度の高い果実に、染み入るような酸とタンニンが長い余韻を作る。味わいの満足度は重さではない事を感じさせるラングドック産。【D:2003 P:91】[Real Wine Guide Vol.4 掲載]
(ドメーヌ・ド・ラ・グランジュ・デ・ペール : Domaine de la Grange des Peres)


France / Champagne


Taittinger Collection
テタンジェ・コレクション
シャンパーニュ 泡白 (Ch55, PN45)
('88 \14,800位)

 偉大な収穫年にのみリリースされるテタンジェの最高峰は、1978ヴィンテージより「テタンジェ・コレクション」と称し、世界的な現代芸術家にそのボトル・デザインを依頼しています。このアイデアは、現社長のクロード・テタンジェが、ランス大聖堂のステンドグラスをデザインしたマルク・シャガールとの出会いが生み出したという事で、瓶を覆うプラスチックに直接印刷する技術は日本のノウハウによるもの。1988ヴィンテージは、グラン・クリュ格付け100%の畑からシャルドネ55% 、ピノ・ノワール45%。ドサージュ前にマグナム瓶で約6年間の熟成を経ています。
 イマイ・トシミツ氏による「花鳥風月」に彩られた1988ヴィンテージは、祝いの席に相応しい一本。テタンジェらしい酸を芯としたスクッとした立ち姿ながら、熟成感を十分に感じさせるブーケとボディ。パッケージに影響されてか花梨や生姜といった日本がイメージされ、スモーク、マロン、カラメルが複雑。秀逸なムルソーに似た長い長い余韻は、プレスティーシュの風格。【D:2003 P:91】[Real Wine Guide Vol.2 掲載]
(テタンジェ)


Salon
サロン
シャンパーニュ 泡白 (Ch100%)
('95 \13,300位)

 1920年代、パリのマキシムにてハウス・シャンパーニュとして愛飲されたというサロン。このシャンパンはこちらで詳しく特集しています。
 敬愛するシャンパーニュ・サロン。気品は十分で、スッキリとした柑橘系アロマ中心の端整な味わいはスルスル飲めてしまう。しかし95は若い。イーストからくる香りのボリューム、果実の肉厚さに欠け、サロンに求めるイメージとはほど遠い。現時点で95がリリースされるのは早すぎると思ったが、瓶熟で成長することを願うばかり。【D:2003 P:89?】[Real Wine Guide Vol.2 掲載]
(サロン)


Jacques Selosse Brut Rose
ジャック・セロス・ブリュット・ロゼ
シャンパーニュ 泡白 (Ch,PN)
(NV \13,000位)

 1949年に設立されたレコルタン・マニピュラン。ジャック・セロスは、コート・デ・ブランに7haの畑を所有し、100%シャルドネ種から年産約4000ケースを生産。1991年よりビオディナミ農法を採用。化学肥料や殺虫剤は一切使用されず、発酵も天然酵母を使用し木樽で発酵させる。
 自社畑のシャルドネ97%にエグリ・ウーリエのピノ・ノワール3%をブレンド、生産量2800本というレアなロゼ。泡量は少なめの濃いサーモンピンクで、オレンジキャンディーやフランボワーズ、ケーキ的な甘い香り。キリッとした押しの強い果実味ながら、密度感と優しい酸により、滑らかでふくらみさえ感じる味わい。赤いアロマと白いテイストがはっきりとして面白い。あまり冷やしすぎず、やや高めの温度で。【D:2004 P:90】[Real Wine Guide Vol.5 掲載]
(ジャック・セロス)


California


Opus One
オーパス・ワン

ナパ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン主体)
('98 \27,000位)

 カリフォルニアのプロプライアタリーワイン(ワイナリーが独自のブランド名を付けて売る高級ワイン)の中でも、最も有名であろうオーパス・ワン。ロバート・モンダヴィとシャトー・ムートン・ロートシルトのジョイント・ベンチャーによる名作。オーパス・ワンとは”作品第一番”の意。
 98オーパスへの賛否は言い尽くされたかもしれません。確かにこのワインのネックは価格でしょうね。ただしその内容は、今素晴らしいものに。コーンスープ、キノコ、バター、コリアンダー。調和のとれたスムースさと人肌的な柔らかさは、あまりに素直でスタイル抜群の山手育ち。大きくはなくとも、点数では表現しきれない品がある。【D:2003 P:93】[Real Wine Guide Vol.4 掲載]
(オーパス・ワン:Opus One)


Aardvark Pinot Noir Carneros
アードヴァーク・ピノ・ノワール・カーネロス
カーネロス 赤 (ピノ・ノワール)
('00 \4,900)

 明るめのルビー色をしたピノは、ボディは中程度だが十分な旨みと後半への広がりがあるワイン。赤くて甘いベリーにスッキリした香草とタール、キャベツにお好み焼ソースをかけた美味しさ。フロッグス・リープのJ.ウィリアムスが造るプライヴェート・ブランドという事で、日本では主に業務店向けらしいので、レストランで見つけたらすかさず注文しましょう。【D:2003 P:88】[Real Wine Guide Vol.3 掲載]
(アードヴァーク・ワイン・セラーズ : Aardvark Wine Cellars)


Australia


Henschke Hill of Grace
ヘンチキ・ヒル・オブ・グレイス
バロッサ・バレー 赤 (シラーズ)
('88 \17,000位)

 グランジと並びオーストラリア最高峰のシラーズと賞されるヒル・オブ・グレイス。1860年代中頃から南オーストラリア、バロッサ・ヴァレーでワイン造りを始めたヘンチキ家は、4代目シリルの時、高品質なスティルワインの生産に注力し、1958年に名高いヒル・オブ・グレイスが生まれました。樹齢130年というシラーズ100%から生まれるワインは、5代目当主ステファンの手により、伝統を受け継いでいます。ヘンチキはケイントン、エデン・ヴァレー、レンズ・ウッドの標高の高い、冷涼な気候の地区に100haの畑を所有。ヒル・オブ・グレイスの畑に入る時はフィロキセラを持ち込まないよう、特製の靴袋を履かされるとか。
 88としては若さのある赤鮮色の外観通り、煮詰めたプラムやラズベリーの甘さがふわっと薫る。この甘さがオージーにイメージする「ひつこさ」がなく、まるでピノ・ノワールのようなエレガントさ。密な構造がありながらそのバランス感が抜群で、スムースな口当たりからタンニンのよく溶けた終りまで果実の旨味を伝えてくれる。グランジとは好対照、「知性」を感じるシラーズ。【D:2003 P:92】[Real Wine Guide Vol.2 掲載]
ヘンチキ : C.A. Henschke & Co.


d'Arenberg The Dead Arm Shiraz
ダーレンベルグ・ザ・デッド・アーム・シラーズ
マクラーレン・ヴェール 赤 (シラーズ)
('01 \5,500位)

 1912年、現在のマクラーレン・ヴェールにジョセフ・オズボーンが創立した重要なワイナリー。著名な「レッド・ストライプ」をまとったワインは、数多くのコンテストにてメダルやトロフィーを獲得、高品質かつ安定したワイン造りで知られます。ユーティパ・ラタという病原菌による病害の名が"デッド・アーム"。この菌は世界中のブドウ畑に存在するが、ブドウ全てを枯らしてしまうことはなく、部分的に感染する。幹から伸びる2本の枝の片方がデッド・アームに感染したものの、残りの枝からは濃縮したすばらしい果実がとれたことから、このブロックのシラーズを他とは分けて醸造している。
 へぇ〜、某有名評論家が98点を付けたって、へぇ〜。トロピカルな甘いワックスやヨーグルト、ムンとする獣系黒果実の香り。いかにもオージー的で中央に陣取る果実味は、この価格帯では十二分に魅力ある旨さを持っている。でも98点だと思って飲むと・・・トリビアなワインも普通の「へぇ〜」になってしまいます。【D:2003 P:90】[Real Wine Guide Vol.4 掲載]
(ダーレンベルグ : d'Arenberg)


Austria


Weingut Velich Chardonnay "Tiglat"
ワイングート・フェリッヒ・シャルドネ "ティグラット"
イジードラゼー/ブルゲンブラント 白 (シャルドネ100%)
('99 \4,800位)

 ブルゲンラント地方のノイジードラーゼという地域、その中のApetlon(アペトロン)という町にあるヴァイングート・フェリッヒ。お爺様の代から3代に渡りワイン造りを行っており、最初は地の品種が畑に植わっておりましたが、良いワインを造ろう最終的に選んだのがシャルドネだったということ。オーストリア最高のシャルドネと評されるワインは、かのジャンシス・ロビンソン女史も「ブラボー!」と誉め称えたとか。"Tiglat"と"Darsho"というキュヴェがあり、こちらが格上のワイン。
 ブラインドで出すと皆が「ブルゴーニュ」と答えたシャルドネ。深い黄金色のワインは、アロマ、果実味、輪郭、余韻といった各要素が良いシャルドネに求める平均点を確実にクリアしている。黄桃やグレープフルーツに軽くかかるロースト香。温度が低い時点では厳しさを感じるほどなので、やや高めの温度で。【D:2003 P:90】[Real Wine Guide Vol.3 掲載]
(ワイングート・フェリッヒ : Weingut Velich)


Japan / Katsunuma


Katsunuma Wine Kosyu
勝沼ワイン 甲州
山梨県勝沼 白 (甲州)
('01 \1,600位)

 1937年創業、有賀社長率いる勝沼醸造の甲州。2001年ヴィンテージはシュール・リーと呼べないシュール・リー。日本ワイナリー協会のワイン表示問題検討協議会は「国産ワインの表示に関する規準:醗酵終了後5ヶ月以上シュールリー状態にし、6月30日までに容器移動(ビン詰め)しなければならない。」という基準を定めている。勝沼醸造さんは「旨み成分の還元を高める」ため、8月上旬までシュールリー状態にしたので、このワインに「シュール・リー」の表記はされていない。
 それはともかく、このワインを飲んで美味しく感じない人がいるだろうか?ほのかな甘味と透明感のある心地よい酸。甲州にある余韻の苦味と戻り香で鼻に抜ける吟醸香に日本人でよかったとホッとさせられる。コスト・パフォーマンスは90点以上☆ 【D:2002,2003 P:88】[Real Wine Guide Vol.2 掲載]
勝沼醸造株式会社 : Katsunuma Winery


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