Nobember 2002 (2)

カリフォルニア
ナパ・ヴァレー・ヴァラエタル Vol.4
Napa Valley 7 more bottles

Paloma Merlot Napa Valley '99
Shafer Merlot Napa Valley '99
Turley Petite Syrah Hayne Vineyard '96 '99
Saintsbury Pinot Noir Reserve Carneros '99
Ridge Zinfandel Park Muscatine '88
Ch. Woltner Chardonnay St.Thomas Vineyard '99


California / Napa Valley


Paloma Merlot Napa Valley
パロマ・メルロー・ナパ・ヴァレー
スプリング・マウンテン 赤 (メルロー)
('99 \8,000位)

 小さな白い鳩が描かれたパロマは、スプリング・マウンテンの頂上に位置するブドウ園から生まれるメルロー。オーナーはバーバラ&ジム・リチャーズ。R.パーカーはほとんどのヴィンテージに90点以上を与え絶賛するが、年産650ケース程度のため、日本ではほとんど紹介されていなかったもの。
 今まで経験したナパのメルローとは異なった感触。外観、香り、味わい共に、黒と紫のコントラストを持つ妖艶な雰囲気。新樽からのバニラ、甘草、紫の花、ダークベリーの濃縮されたアロマに何故か茹でたカニのような風味が面白い。甘味を含む重層感のある味わいは十分に濃いが、輪郭を整える酸が華麗な印象を与える。
(パロマ・ヴィンヤーズ : Paloma Vineyards)セント・ヘレナ


Shafer Merlot Napa Valley
シェイファー・メルロー・ナパ・ヴァレー
ナパ・ヴァレー 赤 (メルロー主体)
('99 \5,300位)

 1979年、シカゴで出版業に就いていたジョン・シェーファーがスタッグスリープ地区に創立。わずが1000ケースの生産でスタートしたが、今では国際的なワイナリーへと成長し、現在ではナパのトップワイナリー。
 メルローには、10%前後のカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニオンがブレンドされる。若いながらも赤系果実の柔らかな質感。酸、タンニンが果実によくバランスするメルローらしい大らかさ。高品位と親近感が同居するのがいい。
(シェイファー・ヴィンヤーズ : Shafer Vinyards)スタッグスリープ


Turley Petite Syrah Hayne Vineyard
ターリー・プティ・シラー・ハイン・ヴィンヤード
ナパ・ヴァレー 赤 (プティ・シラー)
('96 '99 \15,000位)

 別格のジンファンデルの生産者として瞬く間に頂点に登りつめたターリー。マイナーな品種からかプティ・シラーはあまり注目されないが、この品種に関してもカリフォルニア最上というべきワインを造り出しています。
 1999 : 黒々とした色合いに強烈な粘度のレッグ。アルコール度数15度を越えるワインは、重厚なブラックベリーに燻したオーク、ミネラル、黒胡椒。これだけの熟度がありながら純粋で複雑、長大な余韻にドライな印象を残す味わいは「男」を感じる野性味。
 1996 : 99と同じ要素を持つずっしりした印象で、3年という熟成期間をほとんどを感じさせない迫力。3年経た部分は、甘味とアルコールが柔らかく香る程度。このワインはいつまで持続するのだろうか。ジンファンデルもスゴイが、プティ・シラーのワイルドさも「これぞカリフォルニア!」と言いたくなるワイン。
(ターリー・ワイン・セラーズ : Turley Wine Cellars)セントヘレナ


Saintsbury Pinot Noir Reserve Carneros
セインツベリー・ピノ・ノワール・リザーヴ・カーネロス
カーネロス 赤 (ピノ・ノワール)
('99 \7,000位)

 1981年、デイヴィッド・グレーヴスとリチャード・ワードがカーネロスにピノ・ノワール、そしてシャルドネ専門のワイナリーとして興したセインツベリー。カーネロスといアペラシオン名をラベルに初めて表記したワイナリー、そしてクローン研究の先駆者でもあり、この地のピノ・ノワールを業界の常識にまで引き上げた功績は大きい。評価の高いセインツベリーのリザーブ。
 ダークトーンのアロマは、最初はやや閉じ気味で、ゆっくりと黒胡椒やドライフラワーの品位の高いアロマをかもしだす。基本的には熟れたフルーツ味だが、土や茎、量は多いが丸いタンニンがアーシィーな感じ。良作年のボーヌワインのよう。
(セインツベリー : Saintsbury)カーネロス


Ridge Zinfandel Park Muscatine
リッジ・ジンファンデル・パーク・ミュスカティーン
ハウエル・マウンテン 赤 (ジンファンデル75%、プティ・シラー25%)
('88 \9,000位)

 ジンファンデルの名手として知られるリッジ・ヴィンヤーズ。このパーク・ミュスカティーンという銘柄は現在では見ませんが、リッジには「ATP : Advance Tasting Program」というのがあって、単一畑からの少量生産のワインを試験的に醸造しているようです。このワインも「24 Barrels Produced」と記されており、リッジが可能性を求めてハウエル・マウンテンで作ったものでしょう。
 これは私がブラインドで出したのですが、なかなかジンファンデルと思う人はいなかったようです。個人的には熟成したピノに近い感触で、リキュール的なチェリーやプラムのアロマ、土や赤系スパイスの香りがあったように思います。やや立ち気味の酸とボディの線の細さは否めませんが、珍しい古いジンファンデルとしては一興だったのでは。
(リッジ・ヴィンヤーズ : Ridge Vineyards)


Ch. Woltner Chardonnay St.Thomas Vineyard
シャトー・ウォルトナー・シャルドネ・セント・トーマス・ヴィンヤード
ハウエル・マウンテン 白 (シャルドネ)
('99 \4,700位)

 フランシス・デュヴリン・ウォルトナーは、シャトー・ラミッション・オー・ブリオン(ボルドー、グラーヴ地区のトップ・シャトー)を所有していたウォルトナー一族の当主。カリフォルニアに魅せられた彼は1983年にラミッション・オー・ブリオンを売却し、1985年、ナパ・ヴァレーのハウエル・マウンテンにワイナリーを設立。ラミッション・オー・ブリオンでカベルネを手がけていたことや、ハウエル・マウンテンがカベルネ・ソーヴィニオンの秀逸な産地であるにも関わらず、シャトー・ウォルトナーではシャルドネを中心に生産している。
 ミネラル、白い花のコテコテしない清涼感。酸を残した良いバランスを持った白は、厚くはないけれど、大柄なシャルドネが苦手な方にはおすすめできると思います。
(シャトー・ウォルトナー : Ch. Woltner)ハウエル・マウンテン


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ではナパのAVAについて
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ではナパのワインメイキングとテロワールについて
紹介しています。

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