August 2002 (2)

ヴァーチャル・ブルゴーニュ・ツアー
ヴォーヌ・ロマネ特集

Echezeaux '89 '90 '91
Echezeaux '99
Echezeaux '87
Echezeaux '97
Echezeaux '95
Echezeaux '98
Vosne-Romanee Clos des Reas '98 '99
Vosne-Romanee Clos des Reas '67
Vosne-Romanee Clos-Parantoux '93
Vosne-Romanee Les Suchots '97
Vosne-Romanee Les Hautes-Maizieres '96
Vosne-Romanee Clos Goillotte '89
Vosne-Romanee Les Beaux Monts '90
Vosne-Romanee Les Beaux Monts '88
Vosne-Romanee Les Malconsorts '78
Vosne-Romanee Les Chaumes '98
Vosne-Romanee 1er Cru '65
Vosne-Romanee '76
Vosne-Romanee '99
Vosne-Romanee '99


Vosne-Romanee


Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('89 \20,000位)('90 \20,000位)('91 \20,000位)

 初めてピノ・ノワールの美味しさを教えてくれたジャイエ・ジルは、個人的に最も思い入れの強い造り手。コート・ドールから一歩奥まったマニイ・レ・ヴィリエ村にあるドメーヌ。御大ロベール・ジャイエは、名匠アンリ・ジャイエの従兄弟であり、1948年にロマネ・コンティの醸造長であった故アンドレ・ノブレの弟子としてワイン造りを始めた。ロベール・ジャイエは近年引退したが、息子のジャイエ・ジルが同様の手法でドメーヌを守っている。パストゥグランを除くすべてのワインに新樽100%を用いることでも有名で、ここのトップ・キュヴェとされるのがエシェゾー。グラン・エシェゾーのすぐ斜面の上 "Echezeaux du Dessus" という最上の区画から産出される。
 89年 : 約3年ぶりに頂いた89年のエシェゾーは依然強い。99年4月に紹介した時と熟成が進んでいないくらい。最初のややインキーな香りに戸惑いながら、時間と共にまとまりが。引き込まれそうなブーケは、薫香によるハードな部分と、ふっと入る小さな花とコンフィの可愛さ。深みのある黒果実はジルらしく、まだこれから飲み頃が続きそう。
 90年 : クリアーな色合いで、89と比べると全体のニュアンスは同じだけど、アロマに赤果実が少し増える印象。90という良いヴィンテージらしく、ふくらみのある果実は柔らかく甘さがある。今美味しいが少し早めに飲んであげた方がいいと思う。
 91年 : やはり91年は評価よりは美味しい。ややボディは小さくなり、その分、煙や炙った肉のような要素が強いけれど、十分に魅惑的。ブラックベリーとミネラル、なめし革的な熟成香。
 ジルは樽香が強いと言われるけれど、エショゾーを熟成させるとそんな事は気にならず、あくまで良いスパイスの役目。かえって「ワインは農作物」という事を思い起こされる素朴で純度の高い果実感がブルゴーニュという土地を表現していると思う。
(ドメーヌ・ロベール・ジャイエ・ジル : Domaine Robert Jayer-Gilles)グラン・クリュ


Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \9,000位)

 コンフュロン家はヴォーヌ・ロマネ村に7代続く古い家系のひとつ。このドメーヌで取り沙汰されるのが1990年前後のギイ・アッカというコンサルタントの低温浸漬法の信奉者だったということ。現在はアッカは退任しているので、どういうスタイルになっているのか?パーカーもドメーヌへの立ち入りを禁止されているようで、このドメーヌの評価はなかなか出てこない。
 コンフュロンが持つエシェゾーの畑は、グラン・エシェゾーの隣にある「Les Treux」という優良な小区画。平均樹齢50年で除梗は一切行わない。10℃で5日間の発酵前低温浸漬の後、最高30℃にて25日間の発酵。新樽25%にて20ヶ月の熟成、清澄・濾過は行わない。(プレモー村のジャン・ジャック・コンフュロンと混同しやすいが、別のドメーヌ)
 もう数年前のことなのに、初めてフレデリック・マニャンのワイン(96年)を飲んだ時のことを思い出しました。やや紫の入る深い色合い。少しクローズした印象、タールとプラムの黒果実、スパイスと木樽に少しセメダイン香が入る。ジューシーで成熟したエキス分があり、荒削りなタンニンが気になるけれど、旨味のある果実は十分。
(ドメーヌ・ジャッキー・コンフュロン・コトティド : Domaine J. Confuron-Cotetidot)グラン・クリュ


Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('87 \10,000位)

 1988年に亡くなったジョルジュ・ミュニュレ博士はブルゴーニュを代表する醸造家と言われた人で、ワインはミュニュレ・ジブールの名でもリリースされる(ミュニュレ・ジブールはミュニュレ博士の母親が1930年代に購入したブドウ畑から成り、ドメーヌ・ジョルジュ・ミュニュレは彼自身が購入した区画から成る)。1984年に肝臓ガンにかかっていることが分かって以来、ワイン造りの哲学を周りの人たちに伝えたという。現在は未亡人と二人の娘(クリスティーヌとマリー・アンドレ)によって運営され、エシェゾー、リュショット・シャンベルタン、クロ・ヴージョというグラン・クリュをはじめ8.8haを所有。20%以上の除梗せず、高めの温度での発酵は3週間を超える。新樽使用率はヴィンテージにより異なりますが87年は50%という事。
 良い状態で熟成されたエシェゾーは、様々なスパイス、土の香り、プリンのような柔らかな甘さ。飲み頃を感じるまったりとした質感で、ボディの厚みも失っておらず、酸が余韻を締めるデリケートで美しいワイン。
(ドメーヌ・ミュニュレ・ジルブール : Domaine Mugneret-Gilbourg)グラン・クリュ

Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \5,000位)

 モンジャール家は1620年頃より8代にわたってヴォーヌ・ロマネでブドウ栽培を行ってきた由緒ある家系。1945年、ウジェーヌ・モンジャールと妻の旧姓ミュニュレから現在のドメーヌ名になりました。現在は彼らの息子にあたるジャンとジャンの息子ヴァンサン、その妻アンヌが中心となって運営。所有する畑は23アペラシオン、計25haにのぼり、ブドウを摘む「手」のエチケットで親しまれています。エシェゾーには3ha以上の畑を持ち、このAC最大の所有者。2日間の発酵前浸漬、10〜12日のアルコール発酵。グラン・クリュには新樽60%で約20ヶ月の熟成。
 97年は明るいルビー色。ファースト・ノーズでは、木、チェリーや木苺風のトラディショナルな香り。飲むうちに青さのある植物的な茎、やや収斂性を感じ、どこか単調な感じがする。熟成でよくなるのか?
(ドメーヌ・モンジャール・ミュニュレ : Domaine Mongeard-Mugneret)グラン・クリュ

Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \10,000位)

 ヴォーヌ・ロマネ村の名門として知られるドメーヌ・ミッシェル・ノエラ。祖父がアンリ、父がミッシェル、現当主はアラン・ノエラ氏。特級畑はこのエシェゾーとクロ・ヴージョ、一級はスショを所有。もともとネゴシアンに大半のワインを売っていましたが、近年ドメーヌ元詰めを増やしているということ。
 保存状態によるものかどうなのか、すでに茶の入った明るめのルビーで、80年代くらいの感じ。香りも紅茶や枯葉のような熟成香がはっきりと感じられ、円熟味がありました。十分に味わえるワインですが、ヴィンテージを考えると少し?マーク。
(ドメーヌ・ミッシェル・ノエラ : Domaine Michel Noellat)グラン・クリュ


Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \7,000位)

 有名なグロ一族。アンヌ・フランソワーズは、ミッシェル・グロとベルナール・グロ(グロ・フレール・エ・スール)の妹。ポマール村のドメーヌ・パランに嫁いでいるが、ジャン・グロの引退にともないグロ家名声の基盤であったリシュブールの畑を引き継ぎ、グロ家の象徴を守り続けている。彼女の持つエシェゾーは斜面上部の "Les Champs Traversins" という区画。
 暗めのルビー色のワインは、バイオレット、インク、生木とイリコのようなやや乾いたアロマ。若いゆえ酸がシャープですが、アロマティックな高いアルコール感があり、少し置くとこなれてきそう。まだ開けない方がよいだろう。
(ドメーヌ A. F. グロ : Domaine A. F. Gros)グラン・クリュ


Vosne-Romanee Clos des Reas
ヴォーヌ・ロマネ・クロ・デ・レア
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \6,000位)('99 \6,000位)

 ブルゴーニュの造り手の中でもその名を馳せるグロ一族。その本家とも言うべきドメーヌ・ジャン・グロの跡を継ぐのが、ジャンの長男であるミッシェル・グロ。1995年にジャン・グロは引退、その一部の畑を相続し現在計18haの畑を持つ。「クロ・デ・レア」は曾御祖父のアルフォンスが1860年に取得して以来のモノポール、栽培面積は2.12ha。平均樹齢は15年、100%新樽にて約18ヶ月の熟成。卵白で清澄、基本的にフィルターは使わず瓶詰め。
 98年:深いガーネット色をしたワインは、しっかり感のある香りと濃縮感のある果実味があり、一定の酸とタンニンのレベルもあるのに、どこかピノ・ノワールらしくない。何も考えずに飲めば美味しいかもしれないが、クロ・デ・レアだと言われたら少し疑問が残る。
 99年:こちらはやや明るめのガーネット色。樽からのロースト香、バラとスミレのフラワリーなアロマに少し爽やかなハーブが交じる。99ヴィンテージからすると、濃くはないが、現時点でもバランスのとれた透明感と素直な美味しさがあるワイン。
 99年からエチケットのデザインが変わった。やはり偉大な父ジャン・グロと比較されるのが嫌だったのだろうか?新しいデザインはどこか南仏風で好きになれない。
(ドメーヌ・ミッシェル・グロ : Domaine Michel Gros)プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Clos des Reas
ヴォーヌ・ロマネ・クロ・デ・レア
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('67 \15,000位)

 ルモワスネは1877年創立のボーヌにある裕福なネゴシアンで、ブルゴーニュのあらゆるアペラシオンを揃える大手。ここはブドウではなく、ワインを買い付けるが、1986や1984のような年は購入せず、きっちりとしたワイン造り、そして長熟型のワインを生産する事でも有名。クロ・デ・レアは上記のグロの単独所有のはず。多分ジャン・グロが仕込んだワインを、ルモワスネが樽買したものだと思われます。
 明るく透明感のあるオレンジ色で、チェリーのアルコール漬のようなブーケは、子供に帰ったような初々しさと、今にも落ちそうな儚さ。当然揮発香の危うさも感じますが、口中では純粋さを訴えかける存在感がある。ジャン・グロだから・・・というわけではないのですが、嬉しい古酒でした。
(ルモワスネ・ペール・エ・フィス : Remoissenet Pere et Fils)プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Clos-Parantoux
ヴォーヌ・ロマネ・クロ・パラントゥー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('93 \-)

 ブルゴーニュの神様、醸造家の中の醸造家と崇められる伝説の造り手アンリ・ジャイエ。厳格なブドウ畑の管理、発酵前の低温浸漬、長期間の発酵、新樽の採用、So2の否定と近年のブルゴーニュのワイン造りをリードしてきた人物。自身所有の地所は2.5haに満たず、ほとんどのワインは、現ドメーヌ・メオ・カミュゼの畑から分益耕作契約により造ってきた。その契約が切れるのを契機に1988年フルタイムの労働からは退き、以後、甥のエマニュエル・ルージェにドメーヌを任せるようになります。ルージェをサポートし、メオ・カミュゼの顧問として助言を与えていましたが、1994年ヴィンテージを最後に事実上の引退。アンリ・ジャイエの持つ畑はドメーヌ・エマニュエル・ルージェに引き継がれる事になります。アンリ・ジャイエのクロ・パラントゥーは、ワイン・ファン垂涎のアイテム。ジャイエ自身が第二次大戦後に開墾、植樹した畑だという。
 熟成の見える淡いルビー。いちぢく、チェリーという赤い香。抜群のミネラルとアルコールが上あごに届く。気品に満ちたハリのある果実から、余韻で浮かび上がるタンニン。深みはあるが重くない。これがブルゴーニュの真髄なんだね、アンリ爺さん。
(ドメーヌ・アンリ・ジャイエ : Domaine Henri Jayer)


Vosne-Romanee Les Suchots
ヴォーヌ・ロマネ・レ・スショ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \10,000位)

Vosne-Romanee Les Hautes-Maizieres
ヴォーヌ・ロマネ・レ・オート・メズィエ−ル
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \10,000位)

Vosne-Romanee Clos Goillotte
ヴォーヌ・ロマネ・クロ・ゴワイヨット
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('89 -)
 ご存知、現DRCの共同経営者、マダム・ビーズ・ルロワの甥にあたる、アンリ・フレデリック・ロックが1989年に創設したドメーヌ。醸造にはフィリップ・パカレを起用し、ワイン造りのすべての行程において「昔のままに」という造り方。シトー派時代の有機無農薬栽培法を復活、醸造法も房を丸ごと発酵槽に入れる伝統的手法、木樽での発酵、今でも発酵時の攪拌も人間が樽に入って足でかき混ぜる。澱引きは一切行わず、ビン詰めの際もSo2を一切加えない。
 レ・スショ97 : ややくすみのあるルビー色。紅茶や湿った土の熟成香、酵母の香りがアコースティックで飾り気のない親しみやすさ。濃縮度はもの足りなさもあるものの、余韻での主張あるタンニンは一級畑スショの風格。全体のまとまり感にはロックの余裕を感じる一本。
 オート・メズィエ−ル96:0.6ha。3回目の96メズィエール。未だにしっかりとした綺麗な酸による輪郭。タクアンのような熟成香はヴィオディナミ。以前に感じた今にも動き出しそうな動物的な感触が見られませんでしたが、やはりプルミエ・クリュ並みの存在感。
 クロ・ゴワイヨット89:0.55ha。大変珍しいプリュレ・ロックのファースト・ヴィンテージは、今とエチケットが違う。やはり漬物的なニュアンスと甘くミルキーな熟成香。ブランデーっぽい酒質で、やや茎の青さが入るドライな味わい。比較的軽めの終り。全体的には今のスタイルと共通部分があると思います。
(ドメーヌ・プリュレ・ロック : Domaine Prieure Roch) プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Les Beaux Monts
ヴォーヌ・ロマネ・レ・ボーモン
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('90 \10,000位)

 フランス国内に熱烈なファンを持っていたというヴォーヌ・ロマネの造り手。89年までギイ・アッカの影響下にあったドメーヌで、計6.3haの畑は、高い樹齢、低く抑えられた収量、低温で一週間という発酵前浸漬。グラン・クリュのクロ・ド・ラ・ロッシュを始め、多くのプルミエ・クリュをコート・ド・ニュイに所有していたが、最近アンリ・ペロ・ミノに買収された(これらの畑のワインは2000ヴィンテージからペロ・ミノがリリースしている)。
 飲んだ時はギイ・アッカの信者だったとは知らなかったが、そう言われるとメモに「しっかりFIXされたワイン、インキー、八角、アジアのスパイス、余韻に多目のタンニン」と書いている。ヴィンテージとしては肉の厚い酒躯を持っているワインだと思っていたけど、90もアッカのスタイルを汲んでいたのかも。
(ドメーヌ・ペルナン・ロサン : Domaine Pernin Rossin) プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Les Beaux Monts
ヴォーヌ・ロマネ・レ・ボーモン
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \10,000位)

 この造り手は全く知らないんですが、ある友人が恵比寿のワインショップにて「一人限定一本」となっていたので購入したというもの。
 甘酸っぱさのあるチェリー系赤果実。オレンジ・ピールやアミノ酸的な熟成香。球体を帯びる優しくまとまった味わいで、旨味と心地よさのある一本。強さや華やかさのあるワインではないけれど、しとやかな通好みの熟成感だと思います。
(ジャン・ルセリエ : Jean Lecellier) プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Les Malconsorts
ヴォーヌ・ロマネ・レ・マルコンソール
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('78 -)

 1930年の設立のドメーヌ・カティアール・モリニエは、公務員だった祖父が分益耕作でワインを造り、ネゴシアンに売るかたわらDRCで働き、その後少しづつ畑を購入、1950年代後半にドメーヌ元詰を始めた。パーカーも「ドメーヌが小さいため、ここのワインは滅多に見かけないが、ヨーロッパ最高のワインリストにはちゃんと載っている」と1990年出版のブルゴーニュの中で語っています。
 当主であった父アンドレと息子シルヴァンの経営方針の違いから、父の畑を分益耕作する形で1984年にシルヴァンが独立したため、ドメーヌ・アンドレ・カティアールとドメーヌ・シルヴァン・カティアールに分裂した。1995年に父アンドレが退職すると姉妹3人と4人で一旦ドメーヌを会社組織にし、シルヴァンが会社を買い取る形でドメーヌ・カティアール・モリニエの全ての畑を相続。現在ではドメーヌ・シルヴァン・カティアールとなり、約5haの畑を所有しています。
 若々しい色あいをした78年のマルコンソール。様々なフルーツのシロップ漬、梅、都コンブ、ハーフ・ドライになったバラ。ビロードの舌触りという形容が相応しい滑らかさ、余韻での長い酸。言葉で飾る必要がないほどの優良な古酒。
(ドメーヌ・カティアール・モリニエ : Domaine Cathiard-Molinier) プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee Les Chaumes
ヴォーヌ・ロマネ・レ・ショーム
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \5,500位)

 菓子職人からワイン業界への見事な転身を果たしたドミニク・ローラン。友人から「優れたブルゴーニュを探して」という頼みを引き受けた事から、ワインの道へと進み、何人もの優れた生産者との出会いにより、1989年にネゴシアンとしてニュイ・サン・ジョルジュに会社を設立。懇意にするブドウ栽培家達から最上のワインのみを購入する。「新樽200%」(熟成の際、新樽から新樽へ移しかえる)で知られるドミニク・ローランですが、もう一つの特徴は最後まで澱を取り除かないことで、樽を替える際にも澱をすべて一緒に移す。最終段階で澱引きを行い、清澄・濾過をせず瓶詰めされます。
 ドミニク・ローランのイメージが変わったワイン。キャンディーのような透明感のあるスイカ色。赤果実中心のすっきりとした可愛らしいアロマ。味わいのインパクトには欠けるものの、熟成感もありこなれた細やかなタンニン。どこか儚さと芳しさが交差する不思議な魅力。
(ドミニク・ローラン : Dominique Laurent)プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee 1er Cru
ヴォーヌ・ロマネ・プルミエ・クリュ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('65 \20,000位)

 1849年設立、近年創立150周年のキュヴェもリリースしているドュデ・ノダンは、サヴィニー・レ・ボーヌのドメーヌ兼ネゴシアン。ボーヌ・クロ・デ・ロワ、サヴィニーのオー・ゲット、ルドレスキュなど約5haの自社畑を持つ。冷涼なセラーには状態の良い古酒を多くストックしていることで有名。ブルゴーニュの古酒は難しいといわれる中、信頼感ある造り手。
 大切にしていた自分の誕生年のブルゴーニュ。「どうせ弱いんだろうなぁ」と思っていましたが、なんのなんの。茶の入ったレンガ色ですが、枯葉やほうじ茶のようなブーケと共に、濃さのあるタール系のアロマさえ。ヴィンテージからすると非常に状態が良かったのか、やや平坦ではあるものの、綺麗にまとまった果実味。不作年生まれにとって、大変嬉しいバースディ・ヴィンテージ。
(M. ドュデ・ノダン : M. Doudet-Naudin)プルミエ・クリュ


Vosne-Romanee
ヴォーヌ・ロマネ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('76 \12,000位)

 あるワイン会で供された村名ヴォーヌ・ロマネの古酒。オージュというのは聞いた事がないのですが、黄色地にブルーの配色がかなり独特なエチケット。
 エッジはレンガですが、ヴィンテージとしては濃い目の色合い。シップや消毒液のようなすっとした香りが中心で、高いアルコールを感じる。やや酸が勝つ味わいですが、村名の76年ということを考えると、合格点をあげたいしっかりとした酒躯。
(セレクシオン・オージュ : Selection Aujoux)


Vosne-Romanee
ヴォーヌ・ロマネ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \4,000位)

 フランスの代表的なワイン・ガイド「ギ・ド・アシェット」で5年連続で「もっとも衝撃的なワイン」賞を得ているドメーヌ・ギュイヨン。輸入元の方がブルゴーニュで地元の醸造家と話していると「時間を無駄にしたくなければ、ギュイヨンへ行け」と言われたとか。これからが注目されるドメーヌ。
 中くらいのルビー色。木苺と木樽のアロマ、カシス・リキュールとブランデーのようなアルコール感。旨味のあるフルーツのアタックから、中間域ではベジタブルな味わい、比較的多目のタンニンと酸の余韻、思った以上に古典的な印象。
(ドメーヌ・ギュイヨン : Domaine Guyon)


Vosne-Romanee
ヴォーヌ・ロマネ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \4,500位)

 このワインの造り手は「フランソワ・フュイエ」となっていますが、ブドウ栽培を一任されているのは若き醸造家ダヴィッド・デュバンで、メタイヤージュ(折半耕作)により造っているワイン。ドメーヌ・ダヴィッド・デュバンの本拠地はオート・コート・ド・ニュイのシュヴァンヌという村。以前は協同組合に売っていたものの、彼はブドウ畑を父から受け継ぎ、1991年にダヴィッドの代になってから、初めて数樽を元詰め。1995年には協同組合を完全に脱退して、全てドメーヌ元詰めする事を決意。同じオート・コート・ド・ニュイの有名な醸造家ジャイエ・ジルにワイン造りを教わり、これからが注目される。ジルと同じく高い比率で新樽を使うということです。
 確かにジルに少し似ていると思う。素直に立ち上がるプラムやスミレのアロマに交ざる、ジル流の樽香。ナチュラルなミディアム・ボディ。しかし決して乱雑にならず、余韻での長い酸が鮮やかなフィニッシュ。
(フランソワ・フュイエ / ダヴィッド・デュバン : Francois Feuillet / David Duband)


今月のお題目2002年8月
ではヴォーヌ・ロマネ村について紹介しています。

今月のワイン 目次
今月のワイン 前回 今月のワイン 次回



class30 "The Wine"