August 2002

ヴァーチャル・ブルゴーニュ・ツアー
ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)

Romanee Conti '94
La Tache '72 '80 '91 '94
Richebourg '82 '89
Romanee-Saint-Vivant '74 '83 '88 '93 '98
Grands Echezeaux '72
Echezeaux '83 '88 '98

各畑に関する説明は「今月のお題目」をご覧下さい。
DRCワインの価格は輸入ルートにより差がありますので表記しませんでした。


Vosne-Romanee


Romanee Conti
ロマネ・コンティ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('94 -)

 ブルゴーニュの象徴、ロマネ・コンティを飲めるという幸運。ただし94年は90年代で最も難しいと思っているヴィンテージで、実際に頂くまでは、ロマネ・コンティへの期待とヴィンテージへの不安が交錯していました。
 グラスへ注がれるコンティは、すぐに茶が見てとれるほど熟成が入っていますが、透明感のある綺麗な色、状態は完璧だと思います。すぐさま、しっとりとした枯葉、紅茶、昆布〆の熟成香が感じられ、ベリーを煮詰めたような甘さ、新芽のフレッシュ感が同居するアロマ。比較的タンニンも溶け込み、流れるようなアタックから酸が主張する。ボディの厚みはやや欠けるものの、ロマネ・コンティの存在感を感じたのはその余韻。
 すぐさま「ワインのボディは技術で作ることはできますが、絶対に余韻だけは作ることができません」というボギュエの醸造長フランソワ・ミエ氏の言葉を思い出した。正直なところ、これほど余韻が強く印象に残ったのは初めて。その長さを「何秒」というのは嫌いなのですが、間違いなくその余韻に陶酔していました。「神がかった畑」ロマネ・コンティが何故に別格なのか、少し分かったような気がした貴重な体験。(インポーター:サントリー)
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti)グラン・クリュ


La Tache
ラ・ターシュ
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('72 -)('80 -)('91 -)('94 -)

 94年 : やはり94は熟成が早いようで、ルビーがやや白っぽい色合い。すでにケモノ香、ドライなバラの香りが出始めており、時間が立つとうっすらとバニラ香を感じる柔軟な印象。しかし果実自体はDRCとしては物足りなく、乳酸っぽい味わいの後、酸が主体となる。
 91年 : 開き始めた時期だったと思う。深い色合いをした91年の外交的なアロマは、濃縮感のあるブラックベリーやシロップ漬のフルーツ、薫香、黒胡椒、そしてDRCらしい香水のような香りも出始めている。ボディも肉感的で、目の詰まったなめらかな味わいにミネラルが溶けています。俗にいわれる「ラ・ターシュらしさ」のあるワインでしょうし、ブルゴーニュの1991というヴィンテージももっと注目するべきと感じた一本。(インポーター:サントリー)
 80年 : このワインは、友人が仕事の展示会で、日当たりの良い陳列ケースに入っていたのを見て、別のワインと交換して持って帰ったという曰く付き(笑)。なので状態に不安がという事だったが、なかなかのもの。淡いルビーになったワインは、杏やオレンジピール、キノコの熟成香。ボディの強さは抜けていますが、旨味のある果実が残っていたと思います。
 72年 : なかなか飲めない70年代DRC。このラ・ターシュは素晴らしいものでした。ドライローズや香水のようなブーケは、複雑にして純粋、芳醇にして華麗。リキュール的で口中に染み入るような味わいと余韻は、多分DRCでしか体感できないものなのでしょう。あれこれ語る必要のない銘酒、出会えたことに感謝。(ピーター・ツーストラップ・ラベル)
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ


Richebourg
リシュブール
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('82 -)('89 -)

 89年 : エッジにようやくオレンジが見える程度の深いガーネット。レッドベリーとプラムのコンフィ、ザクロ、樹の植物的なアロマ。時折まざる動物的な熟成香もわずかで、気の強い女性といったところ。しかし太目の酸がきっちりと主張する骨格、堂々としたストラクチャー。まだまだ熟成させたい状態。
 82年 :
このヴィンテージにして「リシュブール」という名にふさわしい豊潤なワイン。依然若さのあるクリアーな色合いで、チェリーの甘さ、トリュフ的なキノコとフラワリーなブーケ。味わいもしっかり保たれており、まるでフランス美人が香水をふりまきながら、ゆったりと歩いている姿に惚れそうなワイン。(ピーター・ツーストラップ・ラベル)
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ


Romanee-Saint-Vivant
ロマネ・サン・ヴィヴァン
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('74 -)('83 -)('88 -)('93 -)('98 -)

 98年 : 非常に艶やかなガーネットをした98年は、濃縮感のある赤から黒の果実を中心に、トースト、バターといった樽からのアロマ、そして紫の花とミネラルの交じる食欲をそそる香り。果実の奥に甘さを備え、酸とタンニンのバランスがきっちりとした輪郭を与え、余韻もきれいにまとまる。芳しさと強さも兼ね備えた偉大なサン・ヴィヴァンになるような気がします。
 93年 :
濃度のあるガーネット。赤いチェリーとプラムに、木の茎、ブラックスパイス等の複雑なアロマ。軽くバニラ香があるものの、全体的に閉じた感じのベジタブルな印象。また成長期といった表情で、余韻のタンニンに収斂性も感じる。かなり時間がかかりそうなサン・ヴィヴァン。
 88年 : 熟成感のあるブルゴーニュの心地よさ、タクアン、アミノ酸の香り。心地よいバランスなのですが、どこか目の開いた印象、開き〜終わりが早いことを考えると、ボトルの状態が気になった。
 83年 : ドライフルーツやオレンジ・ピール、ほんのりとジャム、焦し砂糖のアロマを残し、芳醇なブルゴーニュの良さを感じるワイン。味わい自体は軽やかで、グラスに注いで長くもたないのですが、落ちる寸前にフワッと花が咲くような甘苦系の果実が心に残る一本。
 74年 : 香り、味わい、そして余韻まで茶色で統一された質感。紅茶、なめし革、腐葉土、トリュフといった熟成されたブルゴーニュに求める要素がグラスを満たす満足感。今にも終わりそうな果実なのに、前面に出ることのない酸がずっと味わいを支えているかのよう。古酒らしい古酒という意味では、非常に好みで印象的。
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ

Grands Echezeaux
グラン・エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('72 -)

 72のブルゴーニュは好印象のものも多いのですが、このグラン・エシェゾーは難しいワイン。状態は悪く思わなかったのですが、ブーケ、味わいともにややリーン。時間が経つとイチヂクのような甘さもありましたが、DRCとしては印象がうすかった。
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ


Echezeaux
エシェゾー
ヴォーヌ・ロマネ 赤 (PN,Pb,PL)
('83 -)('88 -)('98 -)

 98年 : あるワインバーでサービスされたこのワインにはちょっと困惑した。ジンファンデルのような梅っぽい甘酸っぱさを持ち、若いヴィンテージなのにリキュール的でふくらみを感じない。「あまりDRCぽくないですね」というと「そうなんですよ」とソムリエ氏もおっしゃっていた。閉じた時期かもしれないけど、ちょっと?マーク。
 88年 :
エッジにレンガの入る綺麗なルビー。プルーンやリキュールの甘さを中心とした心地よく華やかな果実香。酸とタンニンの要素を、滑らかな果実感がオブラードのように包み込むワインは、時間と共にふくらみを増します。飲み頃を思わずまとまりの良さ。これから数年のうちに飲むととても美味しいと思う。
 83年 : 熟成のよる香水のような華やかでクリアーなブーケはまさにDRC。人なつっこい調和のとれたボディは、全体的にこじんまりしているけれど、しなやかな余韻を持ち良い状態。83年はDRCにとっても難しかったといわれるけれど、ちゃんと美味しい。
(ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティ : Domaine de la Romanee-Conti )グラン・クリュ


今月のお題目2002年8月
ではヴォーヌ・ロマネ村について紹介しています。

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