July 2002

ヴァーチャル・ブルゴーニュ・ツアー
ヴージョ

Clos-Vougeot '88 / Domaine du Chateau de la Tour
Clos de Vougeot '86 '89 / Domaine Jean Grivot
Clos Vougeot '71 / Domaine Gros Frere et Soeur
Clos de Vougeot '98 / Domaine Meo-Camuzet
Clos de Vougeot '85 '95 / Domaine Robert Arnoux
Clos Vougeot '99 / Domaine Louis Jadot
Clos Vougeot '90 / Domaine Paul Reitz
Clos Vougeot '94 / Maison Dufouleur Freres
Clos de Vougeot '88 / Charles Vienot
Clos Blanc de Vougeot '86 / L'Heritier Guyot


Vougeot


Clos-Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \12,000位)

 利酒騎士団の本拠地、シャトー・ドゥ・クロ・ヴージョは有名ですが、このシャトーから東に数十メートル下ったところに、もう一つの小さな城があります。これが1890年に建設されたシャトー・ド・ラ・トゥールの醸造所で、クロの内側でワイン造りが行える唯一の生産者。斜面中腹に5.5haもの区画を持つクロ・ド・ヴージョ最大の所有者。かつては最高のクロ・ド・ヴージョと謳われたワインも1970年代には品質が低迷。オーナーのラベ家は、1987年から1992年まで醸造コンサルタントのギイ・アッカを起用します。
 アッカの影響下にあった88年のワインは、ワイン会の最後に出てきたので、細かなメモもないのですが、タンニンもこなれ、熟成感のあるワインだったように思います。近年のヴィンテージを飲んでみたい一本。
(ドメーヌ・デュ・シャトー・ド・ラ・トゥール : Domaine du Chateau de la Tour)グラン・クリュ


Clos de Vougeot
クロ・ド・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('86 \10,000位)('89 \12,000位)

 フランス革命前からヴォーヌ・ロマネでワインを造ってきた名家、ジャン・グリヴォー。現在は5代目当主、エチエンヌ・グリヴォーの手によりリシュブール(0.3ha)、エシェゾー(0.6ha)等のグラン・クリュを含む評価の高いワイン数多くを生み出しています。クロ・ド・ヴージョには斜面下部に1.9haと比較的大きなパーセルを持っています。
 89年 : グリヴォーも上記のシャトー・ド・ラ・トゥールと同じ時期にギイ・アッカに入門した一人。89年は3年前に頂いたことがあるのですが、印象はその時と同じく熟成したボルドーワインのよう。外観は茶系の色が多く、スパイスに枯葉、こぶ茶といった熟成香。まったりと酸の低いワインで、アルコール感も強く口中では滑らか。これがブルゴーニュか?と問われれば疑問点もありますが、美味しいことは美味しい。
 86年 : この86年を飲めば、スタイルが違うもんだなぁと実感します。色はあまり退色をみせない綺麗なルビーレッドで、繊細な揮発香にタールが混ざるブーケ。水々しい果実、余韻にみせるのっぺりとしたタンニンはヴィンテージのせいかな?ぎこちなさもあるものの、ブルゴーニュを飲んでいる気にさせられるワイン。
(ドメーヌ・ジャン・グリヴォー : Domaine Jean Grivot)グラン・クリュ


Clos Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('71 \16,000位)

 ブルゴーニュのグロ一族と言えば、高品質のワインを生産することでは有名。「アンヌ・グロ」「ミッシェル・グロ」「A. F. グロ」そしてこの「グロ・フレール・エ・スール」。ギュスターヴ・グロとコレット・グロが営んでいたドメーヌは、ふたりに子供がなかった為、現当主である甥のベルナール・グロに譲渡されました。
 ギュスターヴ&コレットの時代だと思われる1971。これは素晴らしいワイン。1971年は特にブルゴーニュでは秀逸とされる作柄を物語るよう。30年も前のワインとは思えぬ深い色は、それだけでビックリする艶やかさ。乾燥フルーツの香りと甘さ。吸い込まれるような果実の深み、未だ伸びやかな酸との抜群の相性。1971年生まれの方、もし巡りあえば感動されると思います。
(ドメーヌ・グロ・フレール・エ・スール : Domaine Gros Frere et Soeur)グラン・クリュ

Clos de Vougeot
クロ・ド・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \16,500位)

 ブルゴーニュの伝説的な醸造家、アンリ・ジャイエは1945年からカミュゼ家のワインを造ってきました。大学では醸造学ではなく経営学を学び銀行に勤めていたジャン・ニコラ・メオが、ドメーヌを預かったのは1989年、当時25歳。1988年にアンリ・ジャイエと結んでいたメタイヤージュの契約が切れ、それからほどなくしてブドウ畑のほとんどが戻ってきた。経験の浅いジャン・ニコラはアンリ・ジャイエをコンサルタントに置き、片腕となるクリスチャン・フォーロワとともに15haのドメーヌを切り盛り、現在ブルゴーニュでも最上の評価を受けています。
 メオ・カミュゼが所有するクロ・ド・ヴージョの区画は、シャトーすぐ東に位置する2.9haの恵まれた立地で、1920年にレオンス・ボケから買ったもの。現在、利酒騎士団の本拠地となっているシャトー・ド・クロ・ヴージョは、1945年まで初代エチエンヌ・メオが持っていたのだということ。
 98年のクロ・ド・ヴージョは、予想よりは明るいルビー色。レッド・スパイスやプラム、冷涼なハーブのアロマ。アタックから中盤にかけて比較的ライトに感じるボディも、余韻での甘苦系タンニンが立体的。ただ個人的にはこの価格を考えると、少し距離を感じてしまうスタイル。
(ドメーヌ・メオ・カミュゼ : Domaine Meo-Camuzet)グラン・クリュ


Clos de Vougeot
クロ・ド・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('85 \15,000位)('95 \10,000位)

 200年以上続くヴォーヌ・ロマネ村の名門ロベール・アルヌー。現当主のパスカル・ラショー氏は、先代ロベール・アルヌーの娘婿で元薬剤師。1985年、アルヌーからブドウ園で働くように頼まれ、結婚後に栽培と醸造の学位をとったという。そんな短いキャリアながら、低収量、100%の除梗、発酵温度の管理、新樽の増加、清澄と濾過をしないという誠実なワイン造りにより、ワイン界の注目を集めはじめています。 12haの所有畑のうち、クロ・ド・ヴージョには丘の上部、シャトー背後に0.45haを持っています。新樽は70%。
 85年 : フレンチが食べたくなる旨さ。脂身を思わすねっとり感、スパイスをかけた肉のグリル。85というイメージから、もう少し果実感が残っていて欲しい気もしますが、ふくらみは十分で、良い熟成を経た旨い古酒。
 95年 : トリュフやキノコ系の香りがはっきり、そこにウーロン茶、ブラック・ベリーの香が交ざり初期の飲み頃を思わすワイン。濃密でありながら、でしゃばらない滑らかな質感。人に薦めることもせず、そっと自分のセラーに隠したくなるような品位と色気のあるアルヌー。
(ドメーヌ・ロベール・アルヌー : Domaine Robert Arnoux )グラン・クリュ


Clos Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \12,000位)

 ブルゴーニュトップのネゴシアンであるルイ・ジャド。斜面下部から中部にかけて約3haの広めの区画を自社で持っているようです。
 ジャドらしいエレガントなヴージョ。フラワリーなレッド・ベリー、伸びやかなでクリアーな酸味、中間部でのミネラルと余韻のタンニン。華やかな個性。
(ドメーヌ・ルイ・ジャド : Domaine Louis Jadot)グラン・クリュ


Clos Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('90 \5,800位)

 100年余りの歴史を誇るネゴシアンのポール・レイツ。契約農家から果汁ではなく新鮮なブドウを購入して、伝統的・古典的なバランスのよいワイン造りをしている一方で、オスピス・ド・ボーヌのオークションで落札した樽ワインを熟成・瓶詰め生産していることでも有名。
 90という良年。非常にキレイな色合いで状態もよさそう。最初は冷たい質感から酸の多い印象ですが、時間経過に伴い、柔らかなフルーツコンフィ、オレンジピールの熟成香。決してボリュームあるものではありませんが、食事の良いパートナーとなった一本。
(ポール・レイツ : Paul Reitz)グラン・クリュ


Clos Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('94 \7,000位)

 ニュイ・サン・ジョルジュ村に本拠を構えるデュフルール家は、16世紀から続く古いネゴシアン。このメゾンの廉価なラインは日本にも輸入されていましたが、一級畑以上のものは未輸入だったという事。村名以下の商品は契約栽培者の葡萄を買って醸造しますが、自社でも畑を所有しており、このクロ・ヴージョも斜面上部の好位置に1.5haの持つ。ラベルには「Domaine Jean Dufouleur」と記されています。
 94年のブルゴーニュは難しいと思っているのですが、このワインにはビックリ。ラズベリーの甘い果実香を持ち、イヤミのない優しさ。いい具合に熟成していて、タンニンもこなれ、丸く調和のとれた心地よさ。素直に美味しいといえる一本。
(メゾン・デュフルール・フレール : Maison Dufouleur Freres)グラン・クリュ


Clos de Vougeot
クロ・ヴージョ
ヴージョ 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \9,500位)

 シャルル・ヴィエノもニュイ・サン・ジョルジュに本拠をおくネゴシアンで、ブルゴーニュを中心に数多くの銘柄をリリースしています。
 88年のワインは、プラム、バラのドライフラワーという明朗なアロマ。リキュール様のアルコール感あるボディ、旨味を残したバランスの良い古酒。
(シャルル・ヴィエノ : Charles Vienot)グラン・クリュ


Clos Blanc de Vougeot
クロ・ブラン・ド・ヴージョ
ヴージョ 白 (Ch100)
('86 \10,000位)

 レリティエ・ギュイヨは、1845年ディジョンに創設されたメゾンで、ワインメーカーであると同時にフランスでもトップクラスのクレーム・ド・カシスの製造者。クロ・ド・ヴージョ、レ・クラ、レ・クロ・ブランに計11haとヴージョ村に多くの畑を所有しています。プルミエ・クリュであるクロ・ブランの区画は、同社の単独所有で、ニュイとしては珍しく白ワインのみを生産しています。このクロ・ブラン・ド・ヴージョは、名前は知られていても、あまり見かけない一本でしょう。
 今とはラベルのデザインが違う86年。香りのボリュームは大きくないものの、ブリオッシュやカラメルの熟成香が年月を感じさせます。果実感がやや平坦なのは、飲み頃としては過ぎているのでしょうし、粘土質の多い畑だからしょうがないかな。ワイン全体のバランスは良く、まったりとした味わい。稀有な古酒としては一興。
(レリティエ・ギュイヨ : L'Heritier Guyot)プルミエ・クリュ


今月のお題目2002年7月
ではヴージョ村について紹介しています。

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