March 2002 (2)

ヴァーチャル・ブルゴーニュ・ツアー
モレ・サン・ドニ

Clos des Lambrays '62 '93 '96
Morey-Saint-Denis 1er Cru '95
Clos de Tart '72
Clos de la Roche '82 '90
Clos Saint-Denis '90
Charmes-Chambertin '90
Morey-Saint-Denis (Blanc) '96
Clos de la Roche Vieilles Vignes '87
Morey-Saint-Denis Clos des Monts Luisants '94
Morey-Saint-Denis Clos de la Bussiere '96
Morey-Saint-Denis 1er Cru "Cuvee du Pape Jean-Paul U" '85
Clos Saint-Denis '97
Morey-Saint-Denis Clos des Ormes '99
Morey-Saint-Denis Clos des Ormes '64


Morey-Saint-Denis


Clos des Lambrays
クロ・デ・ランブレイ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('62 \25,000位)('93 \7,000位) ('96 \8,000位)

Morey-Saint-Denis 1er Cru
モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('95 \4,500位)

 モレ・サン・ドニ村にある8.7haという広いグラン・クリュ、クロ・デ・ランブレイ。この畑は、原産地呼称法の制定後、初めてのグラン・クリュへの昇格が認めれた畑。クロ・デ・ランブレイと62年のワイン(写真右)については、お題目で紹介していますので、そちらをご覧下さい。
 クロ・デ・ランブレイ62 :  この年代として赤みの強い若々しい色合い。土地の力を感じるブーケ、動物的な部分も。落ち着いた味わい深い果実味。甘さがあり余韻の酸が鮮やかな印象を残す。この畑は当時からグラン・クリュだったんだと痛感させられる古酒。素晴らしいの一言。
 クロ・デ・ランブレイ93 : 艶やかな色合い、オレンジ・ピールやほんのり香る甘いチェリー。滑らかな舌触り、しっとりした落ち着いた味わい、余韻のタンニンも心地よさがあるワイン。
 クロ・デ・ランブレイ96 : エッジに少し赤茶の入る深いルビー。基本的に93と同じしっとりした全体像。ブラックベリーとスミレ、うっすらと樽のバニラ。目が細やかで滑らかな質感、ふくよかさも色気があり、かなり好み。モレ村のワインは、ジュヴレイの力強さとシャンボールの繊細さを兼ねていると言われますが、このワインが表現しているように思えます。ほとんどモノポールとも言えるグラン・クリュとしては、依然お値段が高騰しないのもいいですね。
 プルミエ・クリュ95 : 還元的な香りは、紅茶、小粒の赤果実、木樽のアロマ。繊細でエレガントな果実味、後口のタンニンもスムース。色淡く、香り華やか、軽やかでいて中間域の旨さを感じる和みのブルゴーニュ。
(ドメーヌ・デ・ランブレイ : Domaine des Lambrays)


Clos de Tart
クロ・ド・タール
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('72 \?)

 歴史あるブドウ園、クロ・ド・タールは多くのブルゴーニュの名畑が分割所有されているにも関わらず、単独所有を続ける稀有な存在。1125年、ノートルダム・ド・タールの修道尼たちがクロを作り開拓した由緒ある畑は、革命時に細分化されず、1932年からはボージョレの名家モメサンのモノポール。1996年まで25年間アンリ・ペノー氏によりワイン造りが行われ、その後、シルヴァン・ビティオ氏に交代。平均樹齢50年という高さも相まって、近年の評判は上々。
 72年という古酒ですが、全体的に若さがあるワイン。東洋風のスパイスとどこか白い花をイメージさせる揮発香が交じるブーケ。状態の良さを感じるくっきりとした果実。繊細ながらブルゴーニュ古酒の良さが出たワインだと思います。
(ドメーヌ・デュ・クロ・ド・タール - モメサン : Domaine du Clos de Tart - Mommessin)グラン・クリュ


Clos de la Roche
クロ・ド・ラ・ロッシュ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('82 \?)('90 \?)

Clos Saint-Denis
クロ・サン・ドニ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('90 \?)

Charmes-Chambertin
シャルム・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('90 \?)
 ブルゴーニュでも最上のドメーヌに数えられるドメーヌ・デュジャック。この造り手もお題目で紹介していますので、ご参照ください。デュジャックの各クリマ所有面積は次の通り。クロ・ド・ラ・ロッシュ1.95ha、クロ・サン・ドニ1.47ha、シャルム・シャンベルタン0.8ha、他にエショゾー0.69ha、ボンヌ・マール0.43ha等。
 クロ・ド・ラ・ロッシュ82は、ほんの一口頂いただけなのですが、素晴らしいものでした。デュジャックの綺麗な酸が息づくワインにため息。
【以下、ビックヴィンテージ90は、同時に頂く事ができました。感謝!】
 共通するのは、90年というヴィンテージを考えると明るめの色合い。未だに熟成途中なのか、華やかな中にも、深遠な雰囲気が漂うワイン達。絹の舌触り、赤から黒の果実が濃縮されたエキス分、果実はコンポートの上品な甘さ、燻製と樽のバニラはあるものの、果実にかぶらない。
 クロ・ド・ラ・ロッシュは黒に近いイメージ。がっしりとした中にも、ストレートで魅惑的なアロマ、高次元でまとまったバランスの良さを体感できるワイン。クロ・サン・ドニが中では熟成感が強く、紅茶、ザクロといった心地よさと優美さのあるワイン。シャルム・シャンベルタンは、ブランデーのようなアルコール感、オーク樽の要素があり、タンニンが長く余韻をつくる辺りは、やはりシャンベルタンなのだろうか。いずれにせよ偉大なるデュジャックのワイン。もっと置いた姿も楽しみ。
(ドメーヌ・デュジャック : Domaine Dujac)グラン・クリュ


Morey-Saint-Denis (Blanc)
モレ・サン・ドニ (ブラン)
モレ・サン・ドニ 白 (Ch)
('96 \6,500位)

 これはデュジャックの白ワイン。バトナージュを週一回程度で徐々に少なくしていく。赤はノンフィルターで澱引もしないが、白は清澄度も重要なので軽く濾過するらしい。新樽は30〜40%。
 深い黄金色で、生姜のようなスパイス、生木、爽やかな柑橘のアロマ。酸が少なめでゆったりと大らかな味わいが好み。余韻でのハーブの苦味が旨さを引き立てる白。少し高めの価格ですが、試してみる価値あり。白もしっかりと造られているのが分かります。
(ドメーヌ・デュジャック : Domaine Dujac)


Clos de la Roche Vieilles Vignes
クロ・ド・ラ・ロッシュ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('87 \10,000位)

 ドメーヌの創設は1872年。前当主ジャン・マリ・ポンソ氏は、畑を買い足しこのドメーヌを発展させただけでなく、いち早くクローン苗を導入したり、長年にわたってモレ・サン・ドニ村の村長を務め、多大な貢献をした人物。1983年より息子のロラン・ポンソ氏がワイン造りに参加、現在は当主となり栽培、醸造の責任者となっています。ロラン・ポンソ氏のモットーは「自然と忍耐」で、年に応じて醸造法も変化、通常新樽は使用せず、濾過、清澄もしない。
 エッジにオレンジの入る淡い色調。第一印象でジャムの甘さがある華やかな香り。その後、オリエンタルスパイス、タイムといったハーブ。クリアーなアタックで、ミッド・パレットは強くないものの、そこがかえってブルゴーニュの良さだと思わせるワイン。余韻に少しの収斂性。
(ドメーヌ・ポンソ : Domaine Ponsot)グラン・クリュ


Morey-Saint-Denis Clos des Monts Luisants
モレ・サン・ドニ・クロ・デ・モン・リュイザン
モレ・サン・ドニ 白 (Al70,Ch30)
('94 \8,000位)

 ポンソが造る有名な白。以前はただ"Monts Luisants"とされていたのですが、初代ウィリアム・ポンソ氏がこの畑を買った時の「購入証書」を偶然発見し、それに記されていた"Clos des Monts Luisants"を1992年ヴィンテージからラベルにも表示するようになったらしい。1haの小さな畑で、アリゴテ、シャルドネ、ピノ・ブランの混醸でしたが、この94年からはアリゴテ70%、シャルドネ30%となっています。アリゴテは1911年に植えられた古樹。
 ユニークという言葉がピッタリのワイン。かなり濃い金色をしたワインは隣にいた方が「温泉?」と言われてましたが、まさにそんな感じ。硫黄、濡れた石、青草、砂糖漬けの洋ナシ。フルーツケーキの甘さがあるボリュームたっぷりのワインをシャープな酸味が引き締めるよう。これが好きがどうかは、個人差がありそうですが。
(ドメーヌ・ポンソ : Domaine Ponsot )プルミエ・クリュ


Morey-Saint-Denis Clos de la Bussiere
モレ・サン・ドニ・クロ・ド・ラ・ビュシエール
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \8,000位)

 シャンボール・ミュジニー村の著名な生産者ジョルジュ・ルーミエ。このラ・ビュシエール(2.5ha)は、シャンボール側の村境に接する畑で、ルーミエのモノポール。
 やっぱりいいですね。赤い花をイメージさせるクール&ビューティなワイン。決して重くはないのですが、輪郭のあるワインで、ギッシリと詰まったミネラルがブルゴーニュならではの品位を保つ。こういうワインが好き。メモには「これは良い」を二回も書いている(笑)。
(ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ : Domaine G. Roumier)プルミエ・クリュ


Morey-Saint-Denis 1er Cru "Cuvee du Pape Jean-Paul U"
モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ "キュヴェ・デュ・パプ・ジャン・ポール U"
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('85 \?)

 ポーランド系で彫刻家、モレ・サン・ドニ村の変人(?)と呼ばれるジョルジュ・ブリチェク。一級畑のクロ・ソルベ等を持ってるらしいが、彼のワインはこの大そうな名でリリースされる。キュヴェ・デュ・パプとは「法王様御用達」の意。
 このワイン、高橋時丸氏のお店で頂いたんですが、これが大袈裟な名前に負けず劣らずの旨いワイン。当然、85年はブルゴーニュの偉大な年ですし、果実の大きさは各要素にボリューム感と円熟感があり、まさに飲み頃。二次会で寄らせて頂きましたが、本当は腰をすえて飲みたかった一本。
(ドメーヌ・ジョルジュ・ブリチェク : Domaine George Bryczek)プルミエ・クリュ


Morey-Saint-Denis Clos des Ormes
モレ・サン・ドニ・クロ・デ・ゾルム
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \3,500位)

Clos Saint-Denis
クロ・サン・ドニ
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \5,200位)
 ジョルジュ・リニエは、モレ・サン・ドニ村の名ドメーヌの一つで、ユベール・リニエとは従兄弟同士。ボンヌ・マール、クロ・ド・ラ・ロシュ、クロ・サン・ドニ、シャルム・シャンベルタンの合わせて14haの特級畑、そして1級畑も合わせて4ha弱を所有。ブルゴーニュの伝統的な手法を重んじるこのドメーヌは、耕作に於ける堆肥の使用、発酵も培養酵母などは用いず、野生酵母のみ。13℃にて5日間の低温浸漬の後、最高35℃にて10日間アルコール発酵。新樽は約30%、18ヶ月の熟成。
 クロ・デ・ゾルム99 : 「あー、ブルゴーニュワインを初めて飲んだ時こんな印象だったなぁ」と思わせる、懐かしい味のするワイン。まだ99年なので、酸のレベルがしっかりとしていますが、ドライフラワーやフルーツコンフィの甘さが伝統的なブルゴーニュ良さ。ややオレンジの入った淡いルビー色、水々しい果実は、現代にはそぐわないタイプ? でもこういうブルゴーニュが生き残って欲しいと思うワイン。
 クロ・サン・ドニ97 : うっすらオレンジの熟成感が入る色合い。レッドチェリー、ザクロ、ドライのバラ。ヴィンテージ差だと思うのですが、甘さは99の方がのっている。酸の効いたスマートな果実、余韻は少しザラついたタンニン。それでも輪郭がはっきりしているので、とても上品に感じるワイン。
(ジョルジュ・リニエ・エ・フィス : Georges Lignier et Fils)


Morey-Saint-Denis Clos des Ormes
モレ・サン・ドニ・クロ・デ・ゾルム
モレ・サン・ドニ 赤 (PN,Pb,PL)
('64 \?)

 クロ・デ・ゾルムは、この村のプルミエ・クリュの中でも評価の高い畑。BVCで頂いたタスト・ヴィナージュ・ラベルの古酒。造り手の詳細が分からないのでどうなんだろう?と思ったのですが・・・
 いやはや、これは驚きました。まだまだ若しい色合いで、ブーケというよりアロマと言いたいほどのベリー系の果実香。しっかりと保たれたボディは、濃密で豊かさがあり、丸みを帯びたタンニンが旨い。名の知られない生産者、プルミエ・クリュでここまでもつとは・・・これだからワインは面白い。
(Sonoys)プルミエ・クリュ


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