March 2002

ヴァーチャル・ブルゴーニュ・ツアー
ジュヴレイ・シャンベルタン

Charmes-Chambertin '93
Ruchottes-Chambertin Clos des Ruchottes '93
Gevrey-Chambertin Clos Saint-Jacques '91
Chambertin '81
Chapelle-Chambertin '94
Charmes-Chambertin '88
Chambertin '96
Latricieres-Chambertin '76
Griottes-Chambertin '99
Gevrey-Chambertin Cazetieres '97
Gevrey-Chambertin Combe Aux Moines '98
Bourgogne les Bons Batons '98
Gevery-Chambertin 1er Cru '91
Gevery-Chambertin '88
Gevery-Chambertin '99
Gevery-Chambertin '99


Gevrey-Chambertin


Ruchottes-Chambertin Clos des Ruchottes
リュショット・シャンベルタン・クロ・デ・リュショット
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('93 \15,000位)

Charmes-Chambertin
シャルム・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('93 \15,000位)

Gevrey-Chambertin Clos Saint-Jacques
ジュヴレイ・シャンベルタン・クロ・サン・ジャック
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('91 \15,000位)

 ジュヴレイ・シャンベルタン村の偉大なる生産者として絶賛されるアルマン・ルソー。ジュヴレイ・シャンベルタンとモレ・サン・ドニに計14haの畑を所有し、そのうち8haをグラン・クリュが占める。この村のほとんどのグラン・クリュを所有、隣村のクロ・ド・ラ・ロッシュも持つ。20世紀初めにアルマン・ルソーが創設したドメーヌで、1959年にアルマンの突然の交通事故死の後は息子のシャルルが精力的に運営し、その名声を保っています。

 リュショット・シャンベルタン93、シャルム・シャンベルタン93 : このクロ・デ・リュショットという1.1haの区画はルソーの単独所有(モノポール)。赤みが強く、エッジにやや茶の入った熟成した色合い。93というヴィンテージは固いという先入観からか、人肌を思わす滑らかでふくらみのある果実味が印象的。シャルムは全体的にリュショットをおとなしくした感じで、親しみ易いワイン。グラン・クリュのイメージには乏しいかもしれませんが、シャルル・ルソーの笑顔が見えるような2本のワイン。

 クロ・サン・ジャック91 : これだけ多くのグラン・クリュを所有しながら、ルソーの三部作とされるのが、シャンベルタン、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ、そしてプルミエ・クリュであるクロ・サン・ジャック。他のグラン・クリュの新樽比率は20%程度と低いものの、シャンベルタンとクロ・ド・ベーズは例外的に新樽100%。そしてこのクロ・サン・ジャックには70〜100%と他のグラン・クリュ以上の扱いを受ける。
 熟成の妙を最大限に表現したワイン。淡いルビーを呈したワインは、シャンベルタンというイメージから脱却した妖艶な姿。紅茶、なめし革、バラのブーケ。甘さのある小さな果実を思わすクールで舐めるような質感。噂には聞いていたものの、ここまで素晴らしいとは思わなかった。文句のない一本。(お題目ではジュヴレイ・シャンベルタンのプルミエ・クリュについて説明しています。)
(ドメーヌ・アルマン・ルソー : Domaine Armand Rousseau)


Chambertin
シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('81 \13,000位)

 ジュヴレイ・シャンベルタンに多くの畑を所有する高名なドメーヌ・ルイ・トラペ。1872年にドメーヌを創設、当初はネゴシアンにワインを売っていたが、1950年代から元詰めを開始、1975年にはすべてをドメーヌで瓶詰めするようになった。17haの畑は1990年に息子ジャンと娘マドが均等相続、その後はジャン・ルイ・トラペ、ロシニョール・トラペと二つのドメーヌに分割された。
 70〜80年代のルイ・トラペがあまり良い評価を受けていない事は知っていた。そして、ブルゴーニュでオフとされる1981。でも期待値が大きくない方がワインの印象は良いもの(笑)。茶からレンガの色そのまま、紫蘇、タクアン、いちぢく、紅茶という熟成香。ミディアムできめの細かな果実感、タンニンの残り方はグラン・クリュらしいもの。あまり世評に左右されるのはいけませんね。
(ドメーヌ・ルイ・トラペ : Domaine Louis Trapet)グラン・クリュ

Chapelle-Chambertin
シャペル・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('94 \10,000位)

 ブルゴーニュ随一のネゴシアンであるルイ・ジャド。1859年の創業、1997年には新しい醸造所を建設し、変わらぬ品質を保ち成長を続ける。また自社畑も100ha以上持ち、ドメーヌとしても秀逸な存在。
 エッジには熟成が見えながらも、しっかりした濃いめのルビー色。赤から黒の果実香は鉄のニュアンスがアペラシオンを物語っているよう。アルコール感は高いものの、タンニン量が多く、それに比べると果実味に欠けるのが残念。このヴィンテージはルイ・ジャドでも仕方ないのかな?
(ドメーヌ・ルイ・ジャド : Domaine Louis Jadot)グラン・クリュ


Charmes-Chambertin
シャルム・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \7,500位)

 1864年創業、ジュヴレイ・シャンベルタン村に本拠を構えるネゴシアン、ピエール・ブレ。栽培農家からブドウを買い付けるため、年によって出荷量は違うようですが、年間1万〜2万ケース。コート・ド・ニュイの各村、そしてボーヌのワインも造る。村名格の畑ながらプルミエ・クリュ同等の評価を受ける「クロ・ド・ラ・ジャスティス」を単独所有、またこのシャルム・シャンベルタン(1.2ha)も自社で所有しています。
 シャルムという名の通り魅力的なワインは、タンニンが溶け込み、まさに飲み頃。フランボワーズ、白いキノコのソテーといった柔らかな果実香。強さよりバランスを求める方にはいいと思います。優しい気持ちになる好みのワイン。
(ピエール・ブレ・フィス : Pierre Bouree Fils)グラン・クリュ

Chambertin
シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('96 \8,000位)
Latricieres-Chambertin

ラトリシェール・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('76 \10,000位)
 1830年からの歴史を持つドメーヌ。それだけでなく、シャンベルタン、ラトリシエール、シャルム、マジ、マゾワイエール等、計17haという畑を所有する大地主。しかし、このドメーヌのワインを高く評価する人は少ない。25%の新樽、約30ヶ月という長期に及ぶ樽熟。
 シャンベルタン96 : 色を見た瞬間に??なんでこんなに熟成した色をしているんだろう?香りや味も同じで、昆布茶のような柔らかな香り、果実味もこなれてる。ある意味すごく飲み頃ですが、これは熟成早すぎるでしょ?10年以上経ったワインみたい。
 ラトリシェール76 : こちらはちゃんと年を経たヴィンテージワイン。当然柔らかみを帯び、野イチゴ、昆布、潮の香。旨味もある。時間経過に伴い、余韻に酸が戻ってきますので、飲む直前の抜栓がいいと思います。
(ドメーヌ・カミュ・ペール・エ・フィス : Domaine Camus Pere & Fils)グラン・クリュ


Griottes-Chambertin
グリオット・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \5,000位)

 フレデリック・エスモナンは、1987年まで少ない生産量の大半をルイ・ジャドやルロワといったネゴシアンに売っていた生産者(同村のミッシェル・エスモナンとは親族関係)。今では、シャンベルタン、シャルム、グリオット、マジ、ルショットといったグラン・クリュを持ち、エストゥーネル・サン・ジャック、ラヴォー・サン・ジャック、シャンポネ等のプルミエ・クリュもドメーヌ元詰めでリリースしています。
 一瞬ビックリするほどの紫がかった深いルビー色。スミレやカシス等の黒果実系中心のアロマ、八角のスパイス香。熟したブドウを感じる高いアルコール感と甘苦のタンニン。ヴィンテージと畑の個性が生んだのか、南を感じるワインは、どこかローヌの雰囲気。グラン・クリュでも5000円程度で買えるお値段は嬉しい。
(フレデリック・エスモナン : Frederic Esmonin)グラン・クリュ

Gevrey-Chambertin Cazetieres
ジュヴレイ・シャンベルタン・カズティエ
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('97 \5,500位)

Gevrey-Chambertin Combe Aux Moines
ジュヴレイ・シャンベルタン・コンブ・オー・モワンヌ
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \6,500位)

Bourgogne les Bons Batons
ブルゴーニュ・ル・ボン・バトン
ACブルゴーニュ 赤 (PN,Pb,PL)
('98 \2,000位)
 1975年に兄弟のルネ・ルクレールとドメーヌを分割し、1979年から元詰めを始めたフィリップ・ルクレールは、ジュブレ・シャンベルタン村にて高い評価を受ける生産者。彼のブドウ収穫は他の生産者より遅く、常に新樽を100%用い熟成させる。グラン・クリュはないが、コンブ・オー・モワンヌ、カズティエ、シャンポーといった秀逸なプルミエ・クリュを生産。そのワインは評論家R.パーカー氏やS.サトクリフ女史も絶賛しています。
 カズティエ97 : 鮮やかなルビー色は見ただけで美味しそう。香りはロースト香が強く、カシス、肉の脂身などのアロマに期待も沸きます。しかし一口飲んで・・・まるで樽食べてるみたい(笑)。まだまだ各要素がまとまっておらず、厳しい渋みが前面に出ています。97年という年は、今でも美味しいイメージがあったのですが、ルクレールには合わないヴィンテージかな?
 コンブ・オー・モワンヌ98 : 石油香、石灰と樽のバニラ。深みと濃縮感のあるやや冷涼なアロマ。しかし、味わいはやはり化粧が勝っているようです。ヴィンテージ差もあるでしょうが、目の詰まり方と存在感はカズティエ97より上。
 ル・ボン・バトン98 : ルクレールの造るACブルゴーニュは、非常にコスト・パフォーマンスが良いと評判のワイン。ロースト・ビーフ、レッド・ベリーにオレンジピールのアロマ。プルミエ・クリュの小型版とでもいえるワインは、しっかり酸とタンニンがあり、戻り香に甘さを感じるほど。荒い削りですが、このクラスとしては、とてもしっかりした内容。
 ただ3本ともまとまるのに時間が欲しい。もう少し栓を開けるのを我慢するか、早めに抜栓した方が良いと思いました。
(ドメーヌ・フィリップ・ルクレール : Domaine Philippe Leclerc)プルミエ・クリュ

Gevery-Chambertin 1er Cru
ジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('91 \4,200位)

 ドルーアン・ラローズは1850年創設、所有している15haの自社畑のうち半分がグラン・クリュという、この村の裕福なドメーヌ。クロ・ド・ベーズ、シャペル、ラトリシエール、マジの他に、ボンヌ・マール、ミュジニー、クロ・ヴージョといったグラン・クリュも所有。ジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュは2haの畑を所有しているようです。
 10年経っても未だしっかりとした色合い。クールなブラックチェリー、青菜、酸化鉄、プラスティックのようなアロマ。ややタンニンが青いものの、果実の奥にあるバニラの甘さは好印象。しっかりと造られているワインだと思います。
(ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ : Domaine Drouhin-Laroze)プルミエ・クリュ

Gevery-Chambertin
ジュヴレイ・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('88 \8,600位)

 ドメーヌ・ジャン・ラフェは日本では入手困難な生産者のひとつで、R.パーカーは4つ星評価するモレ・サン・ドニのドメーヌ。多くの評論家が称賛するように、いずれの畑も大変樹齢が高く収穫量は常に低め、栽培家として大変評価が高い。200%新樽で有名なドミニク・ローランはジャン・ラフェから優れた樽を買い付けています。今もほとんど有名なネゴシアンに売り、元詰めが少ないので知名度は高くないようです。
 村名ジュヴレイ・シャンベルタン、そして88年という古酒としては、非常にしっかりとした色合い。ほんのりと酵母香、赤果実のアロマは若々しさも保っています。熟成によって優しくなったボディは、食事と合わせたい古典的な印象。ただ、ブーケに若干のカビ臭があったのが残念。
(ドメーヌ・ジャン・ラフェ : Domaine Jean Raphet)


Gevery-Chambertin
ジュヴレイ・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \6,000位)

 フランスの著名な評論誌「LE CLASSEMENT」の中でもDRC、ルロワ、ヴォギュエ、デュガ・ピィと並び最高の評価を受けるドニ・モルテ。ジュブレイ・シャンベルタン村で今一番注目を浴びている生産者といってもいいでしょう。父、シャルル・モルテの引退後、兄のティエリーは92年に独立、1956年生まれのドニが後を継ぎ、低迷していたドメーヌを建て直した。化学肥料を放棄、根をより深く掘り下げる畑の管理、低収量、厳しい選果、二酸化硫黄の排除、澱引きもしないという徹底ぶり。ここ数年の高評価、それに伴い価格の上昇も凄まじい勢い。
 紫の多い鮮やかなルビー。ラズベリーや花のアロマにハーブの清涼感。よく熟した果実にやや乾いた余韻。バランスの良いワインで、近年流行のしっかりとしたタイプでありながら、しなやかもある。やはりこれから注目すべきワインでしょう。
(ドメーヌ・ドニ・モルテ : Domaine Denis Mortet)


Gevery-Chambertin
ジュヴレイ・シャンベルタン
ジュヴレイ・シャンベルタン 赤 (PN,Pb,PL)
('99 \5,000位)

 ヴァンサン・ジラルダンは1982年、ブルゴーニュの南端サントネー村でわずか3haのブドウ畑からスタートし、現在は17haまで拡大したドメーヌ(旧ドメーヌ名:シャトー・ド・ラ・シャリエール)。主にコート・ド・ボーヌの各アペラシオンで優良な赤白を生産、所有している自社畑だけでなく、ネゴシアンとして古樹の植わる区画からブドウを買い付けます。「これほど手頃な価格で、幅広く傑出したワインを造る生産者を知らない」とパーカー氏も誉めそやす注目株。
 スパイス、ブラックチェリーのパワーある果実香。低い酸が濃縮された果実に一段とまったり感を与えているよう。ナチュラルな中にも現代的な旨さを持つ一本。
(ヴァンサン・ジラルダン : Vincent Girardin)


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