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前回、前々回でもご紹介したテルモ・ロドリゲス氏。ボルドー大学で醸造学を学び、ボルドー格付け2級のシャトー・コス・デストゥルネル等で修業。「スペインのアンファン・テリブル」「リオハの異端児」と呼ばれる彼は「ワインの味を決めるのは法律ではなく、私とワイン自身だ」というポリシーを持ち、現代ニュー・ウェーブ・スパニッシュの牽引役ともいえる存在。 父親が所有していたレメリュリの評価を高めた事はよく知られていますが、親子での意見が合わず、残念がなら1999年にレメリュリを去ってしまったようです。そんな彼は、近年、スペイン各地でエノロゴとして活躍。普通、醸造コンサルタントは依頼のあった各地のワイナリーを飛び回るものですが、彼の場合は自分が造りたい地域に畑を所有したり、あるいは良質な畑を持つワイナリーにジョイント・ヴェンチャーの話を持ち込み、醸造所を借りてワインを仕込みます。 そのプロジェクトは急ピッチで進められており、本拠地リオハ(ランザガ)を始め、リベラ・デル・ドゥエロ(ヴァルデリス)、トロ(ガーゴ)、ルエダ(バーサ)、ナバーラ(ヴィーニャ・デ・アマ)、マラガ(モリノ・レアル)、そしてお隣のポルトガルでも着手。1990年代末より彼独自のブランドのラベルを貼ったワインが続々と誕生しています。以下、日本に到着しはじめたテルモ・ロドリゲスの手掛けるワイン達です。 |
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1998年が初ヴィンテージ。リベラ・デル・ドゥエロ、ロア村のエステバン氏と組んだJV。樹齢17〜28年のテンプラニーリョ100%、90%フレンチオーク+10%アメリカンオーク(新樽、二年樽が半々)のバリックにて18ヶ月間熟成。 |
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南スペインのアンダルシア地方。シェリーの産地として有名なヘレスの東方にマラガというDOがあります。19世紀のイギリスでは、マラガは「マウンテン・ワイン」の産地として知られ、その甘口ワインは圧倒的な人気を誇っていました。 | |
モスカテルという品種は基本的にはマスカットと同種だと思います。そういう意味でも北イタリアのモスカート・ダスティの味わいに似ています。(カッシーナ・カストレット社のアヴィエというワインを思い出した。)マスカット風味の爽やかなアロマ。貴腐による甘口ではないようで、ブドウのピュアな甘さが重さを感じさせません。多くの人に好まれそうな甘口ですが、数が少ないだけに価格はちょっと高い。 (Telmo Rodriguez - Bodegas Almijara) |
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前回ご紹介したように注目の白ワイン産地、ルエダのワイン。ルエダで栽培が盛んになっているヴェルデホ種に、ビウラ、ソーヴィニヨン・ブランをブレンド。アメリカでは、スペインの白ワインで2番目の販売量を誇っているらしい。ソーヴィニヨン・ブランのような印象、ほのかな甘味を感じるフレッシュで軽やかな白ワイン。 |
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![]() ![]() Dehesa Gago デヘサ・ガーゴ トロ 赤 (テンプラニーリョ100%) ('00 \1,400位) ![]() ![]() Gago ガーゴ トロ 赤 (テンプラニーリョ100%) ('99 \2,200位) |
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1994年以来、トロ地区のボデガス・トレサナスの醸造所を借り、開放型発酵樽やバリックを持ち込みワインを造り始めたもの。ステンレスタンクのみで醸造するデヘサ・ガーゴ、バリックで10ヶ月の熟成を施すガーゴ。そしてこの2本の上のクラスとして樹齢60年以上のブドウを用いバリック熟成17ヶ月というパゴ・ラ・ハラ(Pago
la Jara)があるようです。 デヘサ・ガーゴ : このワインを飲んだ時には、ステンレスタンクのみとは知らなかったのですが、それでも「ボージョレ・ヌーボーみたい」という第一印象。鮮やかなガーネットのワインで、フレッシュで愛らしい赤いベリー系の香り。イースト系のニュアンスがあるナチュラルなミディアム・ライトで、綺麗な酸味が上手く溶け込んでいます。素直に飲んで美味しい好感の持てるワイン。 ガーゴ : 平均樹齢50年、熟成は100%フレンチオークの新樽で10ヶ月。かぐわしいアロマは、乾燥フルーツやいちぢく、ほんのり焦し砂糖のような甘さのある香り。タンニンも柔らかで、充実した果実のバランスがとてもいい。これはお値打ち。センスの良い大きな「g」のボトルデザインと共に、今回のワインの中で一番のお気に入り。 (Telmo Rodriguez - Bodegas Toresanas) |
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これはテルモのお膝元リオハのワイン。樹齢40年というブドウ、ヴァルデリスと同じく18ヶ月のバリック(アメリカンとフレンチが50%ずつ)熟成。この1998年が初ヴィンテージ。 |
今回のワインを頂いてみると、「スペインのアンファン・テリブル」「リオハの異端児」と呼ばれるテルモは、そんなに改革を急いでいるのではないような気がします。価格帯も1000円から2000円代が中心で、それらはナチュラルでもあり決して奇をてらうワインではありません。世界を視野に入れながら、今のスペインをよく見つめた一人の青年が造るワイン。機会があれば試してみて下さい。ガーゴ、ヴァルデリス辺りがいいと思いました。 |
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