December 2001

スペイン特集 Vol.2
リベラ・デル・ドゥエロ、プリオラートetc.

Vega-Sicilia Unico '65 '70 '80 '81 '90
Alion '96
Mauro '98
Pesquera Tinto '96 '98
Abadia Retuerta Rivola '96
Belondrade y Lurton '97
Albet I Noya Colleccio Syrah '98
Torres Vina Sol '98
Finca Dofi '98
Les Terrasses '96
Bourgeois '98
Priorat Gran Reserva "Cartoix" '75
Tokaji Aszu-Eszencia '83

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


Spain-Ribera del Duero


Vega-Sicilia Unico
ベガ・シシリア・ウニコ

リベラ・デル・ドゥエロ 赤 (ブドウ品種は下記参照)
('65 \50,000位)('70 \50,000位)('80 \40,000位)('81 \40,000位)('90 \31,000位)

 スペインの赤ワインの中でも別格の存在であるウニコ。このワインの詳細については、今月のお題目で特集していますので、そちらをご覧下さい。
 以下各ヴィンテージのブレンド比率も記しておきます。ティント・フィノとはリベラ・デル・ドゥエロにおけるテンプラニーリョの呼び名です。(Tn=テンプラニーリョ=ティント・フィノ、CS=カベルネ・ソーヴィニオン、M=メルロー、Ma=マルベック、Ab=アルビーリョ)

 90年 : 清廉なスミレの花、ロースト、タールのアロマに甘いバニラが少し。まだまだ飲み頃は先と言えるようで、複雑な要素を持ちながらも、しっとりと佇む風情のワイン。リリースが許されたのは、果実の奥に柔軟性が垣間見れるからかも。紫から黒の深い色のイメージ。[Tn80%, CS20%]
 81年 : 第一印象で飲み頃にさしかかったボルドーに似ていると思った。丁子、アジアのスパイス、土、カシス。思った以上に柔らかなアタックながら、充実したボディには多量のタンニンを残す。現時点で飲みやすく感じるのは、熟成の初期、ある意味ウニコにとっては中庸すぎる時期のような気もする。もっともっと大きくなりそうなワイン。濃い赤茶からレンガ色の印象。[Tn65%, CS20%, M+Ma15%]
 80年 : 甘酸っぱさのある香りは、シャトー・ミュザールを思い起こされる酸化還元香。薫香、墨、チェリー。他のヴィンテージと比べるとエレガントなスタイル。しかし約2時間のちに、全体のバランスと甘味を増したワイン。まだその姿を変えそうな1980。艶やかなルビー色のイメージ。[Tn60%, CS20%, M10%, Ma+Ab10%]
 70年 : このワインの生命力は別格。ハーブ、タール、灰、ミネラル、ブラックベリー、それぞれの香りが渾然一体となり、憎らしいほどクリアーに感じる。継ぎ目のない果実はあくまでクール、純粋な味の輪郭がはっきりとし、余韻のタンニンが若さを強調する。不老長寿の魔法にでもかかったかのようなワイン。千紫万紅。[Tn70%, CS20%, M+Ma10%]
 65年 : 幸せなことに生まれ年のウニコ。しかし不慮の事故でコルクが落ちてしまい(キャップシールを開けていないのに!)約2週間ガスを充填した状態の後、頂いたもの。1970とは比較にならないものの、今から思えばウニコの持つバックボーンは十分にあったのではないか?事故に気をとられていたが、劣化した感じはあまり見受けられなかったのではないか? いつかまた出会えることを願って。[Tn75%, CS20%, M+Ma5%]
(ボデガス・ベガ・シシリア : Bodegas Vega-Sicilia)


Alion
アリオン

リベラ・デル・ドゥエロ 赤 (テンプラニーリョ100%)
('96 \4,500位)

 ベガ・シシリアのアルバレス家が1991ヴィンテージよりつくるアリオン。リベラ・デル・ドゥエロの個性を引き出しすため、ティント・フィノ(テンプラニーリョ)を100%(アリオン用の37haの畑、及びベガ・シシリアの中で樹齢7年未満のブドウ)を用い、ベガ・シシリアとは別のボデガで醸造、新時代のワインを目指す。ステンレスタンクでの発酵後、すべてフレンチオーク(ネベールとアリエ産、一年樽と新樽が半々)で12〜16ヶ月熟成、2年間の瓶熟を経て出荷。1996ヴィンテージは約30万本の瓶詰め。

 アルコール度数13.5%。深々としたガーネット色に長いレッグ。96年は、まさにこれからが飲み頃だろうと思います。柔らかなバニラ香が、キャラメルとミルクの甘さに繋がっていく。背骨となるキレのある酸味。完熟したブラックチェリー、まったりと滑るような質感は、まるで新世界のカベルネを連想させる。ウニコとは全く違う国際的なスタイルを強調したワイン。ベガ・シシリアのワイナリーとしての底力を見た思い。
(ボデガス・イ・ヴィニュドス・アリオン : Bodegas y Vinedos Alion)


Mauro
マウロ

トゥデラ・デ・ドゥエロ VdM 赤 (テンプラニーリョ85%、ガルナッチャ10%、シラー5%)
('98 \3,500)

 元ヴェガ・シシリアの醸造責任者を30年間つとめたマリアーノ・ガルシア氏が指導する新進ボデガ、マウロ。ガルシア氏がベガ・シシリアに勤めながら、彼の子供達が関わるマウロのワイン造りを手伝っていたことは、公然の秘密だったのですが、その件で困惑を募らせていったオーナーとの関係が悪化、1998年4月突然解雇された。ワインは13ヶ月オーク樽で熟成、内80%がフレンチ・オーク、20%がアメリカン・オーク。96年ヴィンテージよりシラーを5%加えている。トュデラ・デ・ドュエロにあり、リベラ・デル・デュエロの原産地呼称の認定地域をわずかにはずれているため、ヴィーノ・デ・メサとなっています。

 正直言うと、ここまで良いとは思ってなかった。アリオンと似たスタイル、現代スペインを感じる個性。弾けるようなスパイス香、フレンチオークからのバニラ。凝縮された色と肉付きのよい果実感のワインは、滑らかな飲み口に甘草の戻り香。余韻には乾いた木のニュアンスがあるものの、食事と一緒なら気にならないでしょう。最近リリースされた、プレミアムキュヴェの「テレウス」も期待。アリオンvsマウロ、これはいい勝負。こんなワインを秘密で造られたらベガ・シシリアも気分が悪くなる!?
(ボデガス・マウロ : Bodegas Mauro)Vino de Mesa de Castilla y Leon


Pesquera Tinto Crianza
ペスケーラ・ティント・クリアンサ

リベラ・デル・ドゥエロ 赤 (テンプラニーリョ100%)
('96 \3,150)('98 \3,500)

 リベラ・デル・ドゥエロに本格的な変革をもたらしたアレハンドロ・フェルナンデス氏のペスケーラ。一代で実業家として成功した彼は、家族がペスケーラ村に所有していた畑を基に、1972年ボデガを興し、1975年に初めてワインを発売。ティント・フィノ(=テンプラニーリョ)を100%用い濃厚な長熟にも向くワインを産み出し、1980年代パーカー氏が高く評価したことにより、一躍脚光を浴びることになります。
 クリアンサとレゼルバは毎年リリースされ、良年にはブドウをセレクトした上でグラン・レゼルバを生産。また傑出したヴィンテージであった1982、1986、1991、1994には、高樹齢のブドウからのワインをさらに選別、より長い熟成を施したグラン・レゼルバ・ヤヌスが造られています。

 96年 : 黒みがかった紫色。華麗なスミレの花、乳酸を感じるアロマ。やわらかなアタックからまるでレチョートのような完熟した甘さ、厚みのある果実は特徴的な酸と余韻の渋みへと繋がっていく。クリアンサでさえ、このレベルは素晴らしいと思います。さすがのペスケーラ。
 98年 : 最新リリースの98年。活き活きとした赤果実、すでに甘味がのったジャミーなワイン。まだタンニンが粗く、まとまらない部分があるものの、そのポテンシャルを感じさせるグリセリンの高さ。もう少し待ちたい。
(ペスケーラ : Pesquera) 


Abadia Retuerta Rivola
アバディア・レトゥエルタ・リボラ

サルドン・デ・ドゥエロ 赤 (テンプラニーリョ60%、カベルネ・ソーヴィニオン40%)
('96 \2,100)

 R.パーカー氏に「今年最大の発見の一つ」言わしめたワイナリー、アバディア・レトゥエルタ。巨大なスイス資本を背景に最先端の醸造設備を持ち、シャトー・オーゾンヌのパスカル・デルベック氏をコンサルタントに迎えたことでも話題。リヴェラ・デル・ドゥエロの西部サルドン・デ・ドゥエロに位置し、ベガ・シシリアのすぐ近くながら、マウロ同様、畑が地理的にDO外にあるため、ヴィーノ・デ・メサとなっています。
 現在約210haのブドウ畑を所有。テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニオン、メルロー、プティ・ヴェルド、シラーと多彩な品種が植え付けられ、ミクロ・クリマが存在するため、54の区画に分けているという。そのクリマに応じた非常に多くのラインナップを持ち、エル・パロマール、エル・カンパナーリオ、パゴ・ネグララーダ、ラプサス等の上級キュヴェを生産。しかしお手頃なこのリボラにさえ、パーカー氏は「トップクラスのポムロールとベガ・シシリアのウニコをブレンドしたものだと思って欲しい」とコメント。デビュー・ヴィンテージである96年物に89点を与えています。

 どこかのテーマパークっぽい可愛いラベルが貼られていますが、中身は別物。輝きのあるルビー・レッド。テンプラニーリョらしい爽やかな花のアロマ、近代的な造りを思わすヨーグルト香が優しい。旨味のある果実にほどよく溶け込む酸味を持つミディアムボディ。唯一、余韻にスペインの田舎っぽさが残る。パーカー氏のコメントは大袈裟かもしれませんが、これからのスペインを物語るワインなのでしょう。
(アバディア・レトゥエルタ : Abadia Retuerta)Vino de Mesa de Castilla y Leon


Spain-Rueda


Belondrade y Lurton
ベロンドラーデ・イ・リュルトン
ルエダ 白 (ヴェルデホ)
('97 \3,000位)

 1970年代、マルケス・デ・リスカルの進出以後、白ワイン生産地としてのポテンシャルを現してきたルエダ。そして現在、ベロンドラーデ・イ・リュルトンによって、さらなる注目を集めています。
 ボルドーのシャトー・ブラーヌ・カントナックをはじめ数々のシャトーを所有するリュシアン・リュルトン氏の娘であるブリジット・リュルトンは、ソーテルヌ地区一級、シャトー・クリマンのオーナーの一人。彼女と夫のティディエ・ベロンドラーデ氏は、1994年よりこの地での白ワイン生産をはじめます。ヴェルデホ種を100%用い、100%の樽発酵後、約1年間フレンチとアメリカンの小樽(ほとんどが新樽)で熟成。ステンレスタンクでブレンドし軽くフィルターをかける。パーカー氏曰く「私の主観だが、私の知る限りこのワインはスペイン白ワインの中で、最も偉大なワインの中のひとつだ。」ということ。

 スペイン白のイメージを覆す香りの豊かさと、濃い黄金色に驚いた一本。鉱物的な白い花と青草、熟したメロンや洋ナシ、トースト香がボリュームを出すアロマ。ややオイリーなイメージは、やはりボルドーの白ワインにも通じ、まろやかな果実が文句なく美味しい。さらに秀逸な白に見られる、アルコールの高さが生み出すドライなフィニッシュ。様々なニュアンスが上手くまとまっている飲み飽きない白。class30が知る限りこのワインはスペイン白の中で、最も偉大です(笑)。
(ベロンドラーデ・イ・リュルトン : Belondrade y Lurton)


Spain-Penedes


Albet I Noya Colleccio Syrah
アルベット・イ・ノヤ・コレクシオ・シラー
ペネデス 赤 (シラー)
('98 \3,300位)

 スペインにおける有機栽培の先駆者ジョゼップ・マリー・アルベット・イ・ノヤ氏。今日生産量の8割を輸出するこのボデガは、3人の醸造家を擁し、有機栽培した16種類のぶどうから24種のワインを造っています。「コレクシオ・シリーズ」はテンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニオン、シャルドネ等を用い本格的に熟成されたヴァラエタル・ワイン・タイプ。「オーストラリアで私はシラーに惚れ込んでしまいました」という彼が新しく期待を寄せるのがこのシラー。
 スペインとは思えないほどの酸の豊かさは、ペネデスという土地柄からか?その酸が濃縮感のある果実を引き締める。カシスやラズベリー、赤い花のアロマ。このワインは熟成するとどう変化するのか楽しみ。現時点ではシラーらしくはないかもしれないけど、食事と合わせたいワインです。
(アルベット・イ・ノヤ : Albet I Noya)

Torres Vina Sol
トーレス・ヴィーニャ・ソル
ペネデス 白 (パレリャーダ)
('98 \1,300位)

 革新的なアイデアと新技術に対する柔軟な姿勢で、カタルーニャ産ワインの地位をリオハと並び称されるまでに高めた立役者がミゲル・トーレス。300年以上にわたりトーレス家が所有するスペインを代表するワイナリーです。
 Vina Sol「太陽のワイン」という爽やかなワイン。カヴァにも用いられる白品種、パレリャーダを使ったワインは、ライム、麦藁、青草やミネラルも感じられます。しっかりした酸味とほんのりと甘味を持つフルーティーなワイン。すっきりした後口で、いろんな料理に合いそうです。
(ミゲル・トーレス社 : Miguel Torres)


Spain-Priorat

Finca Dofi
フィンカ・ドフィ

プリオラート 赤 (ガルナッチャ60%、カリニェナ5%、カベルネ・ソーヴィニオン+シラー+メルロー35%)
('98 \11,000位)

Les Terrasses
レス・テラセス

プリオラート 赤 (ガルナッチャ40%、カリニェナ40%、カベルネ・ソーヴィニオン20%)
('96 \4,000位)

 今、スペインの中でも、最もホット、そしてレアなアイテムとしても話題のプリオラートのワイン達。その中で怪物とも呼ばれる中心的な存在がアルバロ・パラシオス氏が手掛ける「レルミタ」で、全世界から注目を集めています。リオハ出身のパラシオス氏は、ボルドーに渡り、ペトリュスのムエックス氏のもとで修行し、実家のボデガ(由緒あるボデガス・パラシオス・レモンド)を継ぐことなく、プリオラートにその可能性をかけた。
 フィンカ・ドフィ : 1989年に植えた7haの「フィンカ・ドフィ」は、ガルナッチャに外来品種をブレンド。新樽(フレンチ90%、アメリカン10%)で熟成。深く濃縮された色合い、スパイスや黒いベリー系。樽の風味が強く、それががっしりとした骨組みを作っているよう。すごいワインだと思うけど、年をおうごとに、これがどう変わっていくのかは推測不可能です。
 レス・テラセス : このワインはプリオラートの90もの栽培農家から買い付けたブドウで生産、半分は60〜90年の樹齢のものから。新樽は20%、ノン・フィルターにて瓶詰め。鮮やかなルビー色で、トーストとバニラ、キルシュのアロマ。スムースで密度の高い果実が心地よい。「彼のブレンダーとしての才能を世に知らしめた名作」という売り文句が分かる気がします。
(アルバロ・パラシオス : Alvaro Palacios)


Bourgeois
ブルジョワ

プリオラート 赤 (ガルナッチャ)
('98 \7,000位)

 このワインを見るのは初めてで「ブルジョワ?」とクビをかしげながら、その斬新なエチケットを注意深く読むと、上記のアルバロ・パラシオス氏とレメリュリのテルモ・ロドリゲス氏、ビッグネーム2人のサインが。。。調べてみると「マタドール」という年1回発行のスペインの雑誌の企画で毎年テルモ・ロドリゲスがジョイントでワインを造っているらしい。その際、ラベルをマタドールが特集するアーティストに依頼し、リリースされるのはたった2000〜3000本、ブルジョワは1400本限定だった様子。2000年はピーター・シセック氏とのジョイントだということ。
 深く鮮やかな赤紫、バラの花やバニラ。柔らかな口当たりでややミルキーな甘さがある味わいながら、全体としてはエレガントに感じさせる程のピュアな果実。乾いた清涼感のあるアロマ、余韻に浮かび上がるタンニンは、どこか南仏風、グラメノンあたりのワインにも似ていると思いました。
(ボデガ・マタドール : Bodega Matador)

Priorat Gran Reserva "Cartoix"
プリオラート・グラン・レゼルバ "カルトイサ"

プリオラート 赤 (ガルナッチャ100%)
('75 \10,000位)

 スカラ・デイ(神の階段の意)は、1163年、モンサントの麓にシトー派教団によってはじめられた由緒あるブドウ園。19世紀末にフィロキセラによる被害と、教団解体により中断されたぶどう栽培は、1972年にシトー派修道院と醸造所が再建、ワイン造りも再開され、現在はマヌエル・ペイラ夫妻によって運営されています。カルトイサのグラン・レゼルバは、樽熟成5年の限定品。
 このヴィンテージにして、濃いルビー色を呈しています。タールや石灰の酸化熟成香。タンニン分が未だ残っていますが、果実味がついていかないのが少し残念。近年のヴィンテージが飲んでみたい。
(スカラ・デイ社 : Scala Dei) 


Hungary


Tokaji Aszu-Eszencia
トカイ・アスー・エッセンシア
トカイ 白甘 (フルミント種)
('83 \14,000位 500ml)

 ここで、世界三大貴腐ワインであるハンガリーのトカイをご紹介。どうして?と思われるかもしれませんが、このトカイ・オレムス社は、現在べガ・シシリアの傘下となっています。「トカイはユニークな個性があるし、世界最高品質という意味で、べガ・シシリアに共通する」という理由からハンガリー解放後の1993年契約が成立、醸造設備を一新した。最高の条件の畑を7ヶ所に計80ha所有、以後120〜130haに拡大する予定だということ。
 83年というヴィンテージにして若さのある清らかなワイン。当然蜂蜜の甘さがありますが非常に上品で、スパイシーな要素とほんのりとビターが感じられる。純粋な天然の甘さ。アルコール度数は9%。
(トカイ・オレムス社 : Tokaj-Oremus Ltd.)


今月のお題目2001年12月」では
リベラ・デル・ドゥエロとウニコについて特集しています。

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