October 2001

チリ
スーパープレミアム

Errazuriz Don Maximiano Founder's Reserve '96
Sena '96 '97
Concha Y Toro Don Melchor Cabernet Sauvignon '96
Concha Y Toro Terrunyo Cabernet Sauvignon '97
Almaviva '96
Vina Quebrada de Macul Domus Aurea '96
Montes Alpha M '96
Casa Lapostolle Clos Apalta '97
Casa Lapostolle Cuvee Alexandre Cabernet Sauvignon '97
Luis Felipe Edwards Dona Bernarda Coleccion Privada '97
Vina San Pedro Cabo de Hornos '95
Iscay '97

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


Chile-Aconcagua
Aconcagua Valley


Errazuriz Don Maximiano Founder's Reserve
エラスリス・ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ

アコンカグア・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン85%、カベルネ・フラン15%)
('96 \4,700位)

 1870年にサンチャゴ郊外のパンケウケに創設された由緒あるワイナリー。敷地内にある創業者の名をとったドン・マキシミアーノ畑があり、この区画から産出される同社の最高峰がこのワイン。エラスリスは創業当時からカベルネ・ソーヴィニヨン100%のレゼルヴァを造っていましたが、1989年よりベスト・セレクションのキュヴェをリリース。これが1993年より「ファウンダーズ・リザーヴ」の名でリリースされるようになりました。
 深々とした紫色の外観と同じく全体的に「紫」の色調を思わすクールさ。鍛えられたスポーツ選手の肉体のような強さと引き締まった質感。ブラックチェリーの香りにフラワリーな部分が混ざる。ミネラル感はチリのフィネスかも。
(エラスリス : Errazuriz)


Sena
セーニャ

アコンカグア・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン90%、カルメネール10%)
('96 \8,500位)('97 \8,500位)

 上記のエラスリス、ロバート・モンダヴィ、カリテラの合作によるスーパープレミアム。エラスリスの自己所有畑「ドン・マキシミアーノ」のブドウから造られる。実際に醸造を担当するのはエラスリスのワイン・メーカー、エドワード・フラハーティー氏。ティム・モンダヴィ氏が最終的なブレンドをするのだと言う。フレンチ・オークの新樽比率は96年で40%、97年が50%。セパージュは96年がカベルネ90%、97年は95%となっています。
 96年は、あくまで黒に近い深みのある色、凝縮されたカシスにブラックペッパーやハーブ。柔らかなバニラ香も溶け込み、この時点で滑らか。律した酸味と共にとまどいもなく口に入っていきます。パワーとエレガンスの両立。やはりセーニャは美味しい。
 97年の温かみのある果実の凝縮感も素晴らしいのですが、もう少し時間がかかりそうな暴れ気味のタンニン。96に比べるとややワイルドな表情。
(セーニャ : Sena)

Chile-Central Valley
Maipo Valley


Concha Y Toro Don Melchor Cabernet Sauvignon
コンチャ・イ・トロ・ドン・メルチョー・カベルネ・ソーヴィニオン

マイポ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン100%)
('96 \5,400位)

 2000haという広大なブドウ畑を所有するコンチャ・イ・トロ。1883年、創始者のドン・メルチョー氏がボルドーからぶどうの苗を持ち帰り、ブドウ畑を開墾したと言われます。フランス人醸造家のラブシェールを起用し、創始者の名を冠したドン・メルチョーは、間違いなくチリのトップ。
 チリワインの大御所、ドン・メルチョー。良い意味で非常に古典的と思えるワインは、自然の大地を感じる「茶色」のイメージ。土の風味、柔らかな果実に甘苦系のスパイス。このワインが認められる理由は、その安心感なのかも。チリの正統を感じるワイン。
(コンチャ・イ・トロ : Concha y Toro)


Concha Y Toro Terrunyo Cabernet Sauvignon
コンチャ・イ・トロ・テルーニョ・カベルネ・ソーヴィニオン

マイポ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン80%、メルロー10%、カルメネール10%)
('97 \3,000位)

 チリ最大のワイナリーでもあるコンチャ・イ・トロが出してきたブランニューは、最上区画を指定した新コンセプトワイン。フレンチオークで10ヶ月熟成、ノン・フィルター。テルーニョとは、テロワールの意味。「ワイン王国」最新号(No.12)のベストバイワインにも選ばれ「From these we have chosen to share the best of the best : our "Terrunyo"」というラベル表記にもワイナリーの自信と期待が伺えます。
 黒みがかったガーネット色と長いレッグだけでその凝縮感が分かります。カカオやチョコの風味に甘いバニラ、爽やかなハーブが溶け込み、ふくよかな印象。余韻の細やかなタンニンに、その「テロワール」が表現されているよう。チリの良さを引き出したお買い得な一本だと思います。
(コンチャ・イ・トロ : Concha y Toro)


Almaviva
アルマヴィヴァ

マイポ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン75%、メルロー19%、カベルネ・フラン6%)
('96 \9,000位)

 1998年9月に発表されたこのワインは、バロン・フィリップ・ロートシルトとチリのコンチャ・イ・トロの合作。名前の由来は、モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」の登場人物、好色アルマヴィヴァ伯爵。ラベルは宇宙と大地のイメージをシンボル化したもので、チリの先祖伝来の歴史に対する敬意を表し、ラテン民族・マブチェ族により慣習的に使われてきたクルツゥーランの太鼓がデザインされています。
 ムートンのジョイントという先入観からかもしれませんが、カシスに西洋杉のアロマが加わる非常にボルドー的なワイン。豊かだが威圧感のない果実は繊細かつ緻密。当然熟成が期待できるワインですが、やや低めの酸が現時点での飲み心地のよさに貢献しているよう。フランス好きの方には好まれるワインだと思います。
 初ヴィンテージの96年は提携前の作品で、コンチャ・イ・トロで仕込まれた最高キュヴェをフランス人責任者のパスカル・マルティが厳選、監督下にて熟成されたもの。そういう意味でもアルマヴィヴァの本領はこれから発揮されるのかも?近年のヴィンテージは5000円程度で販売されているので、非常に興味が湧きます。
(ヴィーニャ・アルマヴィヴァ : Vina Almaviva)

Vina Quebrada de Macul Domus Aurea
ヴィーニャ・ケブラダ・デ・マクール・ドムス・アウレア

マイポ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン100%)
('96 \5,000位)

 1998年11月に初ヴィンテージである1996年のドムス・アウレアをリリースしたばかりの新しいワイナリー。もともとコンチャ・イ・トロ、サンタ・リタ、エラスリスのために高級ワイン用ブドウを造っていた。コウシニョ・マクールの上部にある19haの畑からチリの高名な醸造家イグナシオ・レカバレン氏のプロデュース。ドムス・アウレアとは「黄金の家」の意味。特徴的なラベルは、チリの有名画家ベンジャミン・ヒーラの作品。
 インパクトある外観、そして世評に惑わされた一本。柔らかなルビー色、96年としてはやや熟成の進んだようなワイン。茎のような要素が見え隠れする赤果実系のミディアム・ボディ。これはこれでいいのですが、マスコミの書く「出色」「偉大」という感はありませんでした。
 ただこのワイナリーは、樽ごとに瓶詰めをするのでロットが違うとワインにも違いがでる傾向があるという話。もう一度、試してみたいと思います。
(ヴィーニャ・ケブラダ・デ・マクール : Vina Quebrada de Macul)

Rapel Valley 


Montes Alpha M
モンテス・アルファ・エム

コルチャグア・ヴァレー 赤 (カベルネソーヴィニヨン80%、メルロー10%、カベルネフラン10%)
('96 \8,500位)

 チリのディスカヴァー・ワイン社の銘柄がモンテス・アルファ。1988年に「チリ産プレミアム・クオリティ・ワインを造る」という志を持つ4人の出資者によって設立。クリコ・ヴァレーに約100haの畑を所有し、現在では社名もディスカヴァー・ワインからモンテスに変更。ここのフラッグシップが "M" で、コルチャグアのアパルタの丘で生まれる。46haの畑のブドウは、樹齢がまだ10年ちょっとという事ですが、その評価は非常に高い。Mとは、Majestic 経験、Maximum 努力、モンテス氏のMagic、Magnificentな土壌、そして共同経営者である。Mr.MurrayとMr.Montesのイニシャルでもある。
 その現代的な外観と同じく、中身もスタイリッシュ。複雑なタンニンを包み込む、オークの溶け込んだ豊かなブラックベリー、柔らかな酸。磨き込まれたワインは、余韻も極めてエレガント。これからのチリの進む道を示唆するかのようなワイン。
(モンテス・アルファ : Montes Alpha)


Casa Lapostolle Clos Apalta
カサ・ラポストーレ・クロ・アパルタ
コルチャグア・ヴァレー 赤 (メルロー&カルメネール95%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%)
('97 \5,000位)

 「シンデレラワイン請負人」「ミスター・メルロー」ミッシェル・ロランがコンサルタントするスーパープレミアムで、この1997年が初ヴィンテージ。コルチャグア地区の山のふもとアパルタにあり、上記のモンテス・アルファMの畑も近い。樹齢50〜60年のメルロー&カルメネール95%(チリの畑では、メルローとカルメネーレは混植で、新しい畑の場合は分けて植えるが、ここのように古い歴史を持つ畑の場合は2/3がメルローで1/3がカルメネーレの割合で同じ畑に一緒に栽培されている)とカベルネ・ソーヴィニオン5%を使う。35日の醸し醗酵後、フランス産の新樽100%にて16ヵ月間熟成。総生産量は2000ケース、日本への割り当てはたったの600本。
 リリースと同時に完売となるほど前評判のよかったクロ・アパルタ。まさに美味しいメルローで、黒味を帯びた赤紫。一発目にくる果実の甘さ、薫香、バニラ、ハーブ。滑るような口あたり、目の詰まった質感に高いアルコールが加わる素晴らしさ。カサ・ラポストーレ、モンテスといったワイナリーのメルローは本当に美味しい。
(カサ・ラポストーレ : Casa Lapostolle)

Casa Lapostolle Cuvee Alexandre Cabernet Sauvignon
カサ・ラポストーレ・キュヴェ・アレクサンドレ・カベルネ・ソーヴィニオン
コルチャグア・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン)
('97 \3,000位)

 このワインもミッシェル・ロランが手掛け、かつてチリワインがブームだった頃、その評価と共に、最高の人気を誇っていたキュヴェ・アレクサンドレ。99年3月に購入したものを開けてみました。
 当然のように深々とした黒に近い赤紫。リリースから少し熟成させたからでしょう、全体的に柔らかさのある香り。キャラメルや若干のミント。アタックのインパクトはあるのですが、酸が弱い分、ミッドパレットが物足りない感じ。ややインキーな部分も残る。やっぱりミッシェル・ロランはメルローなのかな?
(カサ・ラポストーレ : Casa Lapostolle)


Luis Felipe Edwards Dona Bernarda Coleccion Privada
ルイス・フェリペ・エドワルズ・ドンナ・ベルナルダ・コレクシオン・プリヴァーダ
コルチャグア・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニヨン100%)
('97 \4,000位)

 チリのセントラル地区、コルチャグア・ヴァレーに位置し、自社畑を約200ha持つワイナリー。チリの有名な醸造家フェリペ・ド・ソルミニャック氏を主任エノロジストに、シャトー・ラフィットのディレクター、ジルベール・ロヴァム氏をコンサルタントに迎えています。厳選されたぶどうのみを使用し、生産、瓶詰め、出荷までを独自に行なうという、厳しくコントロールされたワイナリー。ドンナ・ベルナルダは、樹齢60年の古樹、4月に収穫され27〜28℃で発酵、フレンチ・オーク樽で12ヶ月熟成、壜熟12ヶ月後に出荷。
 女性の顔が浮かび上がる印象的なラベル。このワインに関しては、チリのパワーや凝縮感というより、非常にバランスの良い、気品のようなものがあります。小粒のキュッと締った水々しい果実に綺麗な酸が交わる様は、まさにチリのラフィットでしょうか。ルイス・フェリペ・エドワルズのワインは、非常に真面目な造りを感じます。
(ルイス・フェリペ・エドワルズ : Luis Felipe Edwards)

Curico Valley


Vina San Pedro Cabo de Hornos
ヴィーニャ・サン・ペドロ・カボ・デ・オルノス

ロントゥエ・ヴァレー 赤 (カベルネ・ソーヴィニオン100%)
('95 \4,500位)

 特徴的な猫のマーク「ガトー・ネグロ」で知られるサン・ペドロ。1865年創立、チリのワイナリーで2番目の輸出高、1000haという自社畑を持つ名門ワイナリー。そのワイナリーにおける最高級ワインがこのカボ・デ・オルノスで、チリを代表するワインの一つ。カボ・デ・オルノスとは南米大陸最南端の「ホーン岬」の意。クリコ・ヴァレーの中でも名高いロントゥエ地区に位置し、自社畑の最もぶどうの樹齢の高いカベルネ・ソーヴィニオン100%。フレンチオークの樽で3ヶ月に1回の澱引きをしながら18ヶ月熟成、生の卵白による清澄の後、濾過なしでボトリング。
 エッジにほんのりと茶が入る熟成感。赤く柔らかなワインは、やや生肉のニュアンスと紅茶の風味。レッド・スパイス、丁子のアクセントが心地よい。ユニークながら格調の高さを感じ、余韻の酸味がとても綺麗。好きなワインです。
(ヴィーニャ・サン・ペドロ : Vina San Pedro)


Argentine-Mendoza

Iscay
イスカイ

メンドーサ州 赤 (メルロー50%、マルベック50%)
('97 \5,000)

 アルゼンチンのトップワイナリー、トラピチェがプレミアムワインとしてリリースしてきたイスカイ。イスカイとはインカの言葉で「2人」「2つ」の意味があり、ミスター・メルロのミシェル・ロランとミスター・マルベックのアンヘル・メンドーサの合作を象徴しています。樹齢50年の古樹、5000kg/haという収量、フレンチオークの新樽、醗酵には野生酵母を使用、というこだわり。「ジャパン・インターナショナル・ワインチャレンジ1999」ではベスト・アリゼンチンを獲得しています。
 スパイスとバニラ、しっかりと重さのあるボディ。そこには土の風味なんですが、どこか垢抜けない農工的な感じで、新世界とは思えないスタイル。厳選された畑からのワインなのでしょうが、メルロー+マルベックで世界のワインラヴァーのハートを掴むのは、ちょっと難しいかな?というのが正直な感想。
(トラピチェ : Trapiche)


今月のお題目2001年10月
ではチリワインを特集しています。

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