September 2001

シャンパーニュ特集
That's Prestige!

Krug Clos du Mesnil '83 '88
Krug Rose
Philipponnat Clos des Goisses '90
Alain Robert Le Mesnil Cuvee Tradition '79
Vilmart Coeur de Cuvee '93
Veuve Clicquot Ponsardin La Grande Dame '90
Cuvee Dom Perignon Rose '90
Gosset Celebris '95
Alfred Gratien Cuvee Paradis
Laurent-Perrier Grand Siecle Alexandra Rose '90
Taittinger Comtes de Champagne Rose '95
Pol Roger Cuvee Sir Winston Churchill '90
Salon '85 '88
Louis Roederer Crystal Brut '90
Dom Ruinart Blanc de Blanc '88
Bollinger RD '85
Henriot Brut Millesime '64
Henriot Rose Millesime '90
Lanson Blanc de Blancs Gold Label '90
Jeanmaire Elysee '85

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


France-Champagne

Krug Clos du Mesnil
クリュッグ・クロ・デュ・メニル
シャンパーニュ 泡白 (Ch100)
('83,'88 \50,000前後)

 「クリュギスト」と呼ばれる熱烈なファンを持つ別格のシャンパンこそクリュッグ。1843年の創業、現在はブドウ畑取得の経緯からレミー・マルタン・グループに属しますが、その運営は、クリュッグ一族が仕切り、伝統的な製法を守り通しています。
 そして同社の誇りとも言える至高のシャンパンが、この「クロ・デュ・メニル」。コート・デ・ブラン地区、メニル・シュール・オジェにあるベネディクト修道会のブドウ畑(1698年まで遡れる)、由緒あるクロから生まれる逸品。フィリッポナの「クロ・デ・ゴワセ」と共にシャンパーニュ地方で単独畑名を名乗れる2つの名畑の一つ。ワイン好きが最も憧れるシャンパンでしょう。
 83年のクロ・デュ・メニル。熟成された要素、カラメル、ゆで小豆の発酵系の香り、クリーム。柔らかなボディにエレガントな酸味。アフターにせり出してくる甘味。
 88年、ワインの持つミネラル、白い花。一瞬若々しさを感じながら、その繊細な味わいは他のシャンパンとは一線を画すもの。
 初めて体験した憧れのクロ・デュ・メニル。しかしながら、この奥ゆかしいワインの個性を理解するには、飲み手がもう少し大人になる必要があるのかも。また年輪を重ねて出逢いたいと思います。
(クリュッグ)

Krug Rose
クリュッグ・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (Ch20〜25,PN45〜50,PM20〜25)
(NV \18,000位)

 以前はロゼを造っていなかったクリュッグですが、80年代後半からリリースしています。他のハウスのロゼの多くがヴィンテージ物であるのに対しマルチ・ヴィンテージ(多くの年をブレンド)し、その複雑性を主張するクリュッグは、ロゼもNVとしているようです。
 淡くピンクがかった麦藁色。赤リンゴやサクランボの赤果実系アロマ。はりのある酸と辛さを伴うフィニッシュが印象的。時間が経つとハニーもありましたが、どちらかというと、熟成感よりフレッシュさを感じるロゼ。少し置くとその魅力が増すように思いました。
(クリュッグ)


Philipponnat Clos des Goisses
フィリッポナ・クロ・デ・ゴワセ
シャンパーニュ 泡白 (PN70,Ch30)
('90 \15,000位)

 マルイユ・シュル・アイ村(アイの東隣の村)にある年産60万本と小規模ながら伝統のあるハウス、フィリッポナ。1935年、単独の1級畑「クロ・デ・ゴワセ」を購入し、一気にその名声を高めました。それもそのはず、この5.5haの畑はシャンパーニュ地方で単独畑名を名乗れる僅か2つの名畑の一つ(もう一つはクリュッグ社の持つ名高いクロ・デ・メニル)。現地では人気の高いハウスで、1998年、ブリュノ・パイヤールの傘下に。
 クロ・デ・ゴワセは、この畑のある丘を、マルヌ川の対岸から見ると、女性のボディラインのような丘のなだらかな曲線がマルヌ川に映り、それを模したという特徴的な瓶に詰められていましたが、この90年は普通のボトルだったのがちょっと残念。80年代までで変わってしまったのでしょうか?
 それはともかく本当に美味しいシャンパーニュです。柑橘中心のキレの良い酸味とピノ・ノワールの甘さが少し。石灰や熟したリンゴ、パイのイースト系の香り。スタイルの良いボディと余韻での渋みが印象的。珍しいだけでなく、中身も抜群の伝統的なシャンパーニュ・スタイル。
(フィリッポナ)

Alain Robert Le Mesnil Cuvee Tradition
アラン・ロベール・ル・メニル・キュヴェ・トラディション
シャンパーニュ 泡白 (Ch100%)
('79 \19,000位)

 ワイン愛好家の中では、じりじりと人気の高まりつつあるアラン・ロベール。17世紀以来続く由緒あるブドウ栽培農家で、コート・デ・ブランの7ヶ村に自社畑を所有。どのキュヴェも樹齢30年以上のメニル産のシャルドネを使用。初搾りのみを醸造し、最低7年以上の熟成を経て出荷されます。
 ワインの完璧主義を貫くアラン・ロベールのトップ・キュヴェがこのトラディション。1979年ヴィンテージにして初リリースは1999年の冬でした。樹齢40年以上のシャルドネ100%、木樽発酵の後、ノン・フィルターにて仕上げられます。
 憧れのシャンパンであったこのトラディションはやはり個性的。フレッシュな柑橘と熟成された紹興酒のカラメル香、ロースト香が混在。凝縮されたブドウによるワインの厚みはさすが。繊細な酸、余韻のアルコール感。すべてが別次元の味わい。しかし、これはちょっと理解しづらいかな?
(アラン・ロベール)


Vilmart Coeur de Cuvee
ヴィルマール・クール・ド・キュヴェ
シャンパーニュ 泡白 (Ch80,PN20)
('93 -)

 ヴィルマールはその生産量の少なさから、あまり有名ではないと思いますが知る人ぞ知るシャンパーニュ。1890年の創業、11haの一級畑を所有するRM(レコルタン・マニピュラン:ブドウ栽培者兼生産者)、年産7000ケースと少量。多くのワイン評論家からも絶賛される生産者で、全面的有機農法、発酵、熟成を木樽で行い、マロラティックをしない醸造法はクリュッグを彷彿とさせます。

30万ヒットを記念して、このシャンパーニュをプレゼント致します。
こちらをご覧下さい。


Veuve Clicquot Ponsardin La Grande Dame
ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン・ラ・グランダム
シャンパーニュ 泡白 (Ch38, PN62)
('90 \12,000位)

 1772年、ランスに創業された、名実共に定評のあるシャンパン・メーカー。初めてシャンパンを透明にする事に成功したのが「クリコ未亡人(ヴーヴ)」。(こちらで詳しく特集しています。)
 1962年ヴィンテージより、出荷された最上級キュヴェが「ラ・グランダム」。マダム・クリコに捧げられたこのシャンパンは、ロシア皇帝に贈られた当時のものを再現したボトルに詰められます。8つの特級畑(5つのピノ・ノワール畑、3つのシャルドネ畑)から、最低6年間の熟成を経てから出荷されます。
 個人的にヴーヴ・クリコは大好きです。改めて頂いた90年も、ピンクがかった濃い目の色合い。すりおろしリンゴのような芳醇なアロマ、ジューシーで立体的な果実。口当たりには辛さがあるものの、飲んでみると熟した果実の甘さが出てくる旨味と熟成感のあるボディ。「立派」という言葉が似合うワイン。
(ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン)


Cuvee Dom Perignon Rose
キュヴェ・ドン・ペリニョン・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (Ch60, PN40)
('90 \20,000位)

 17世紀後半に、丈夫な瓶とコルク栓の元になるアイデアを導入し、この地方の伝統でもあるブレンド技術の基礎を築き、シャンパンを広める功績を残したのが、ドン・ペリニョン師。その名前のついたシャンパンは日本でも最も有名なものでしょう。ここのロゼはかつては3万から5万という値段が付けられていました。凄い値段ですね。
 90年のロゼ。ドンペリ・ロゼってこんなに色が濃かったかな?と思うほど、オレンジの強い色あい。さすがに洗練されたデリケートな花の香り、渋みを伴い長く続く余韻。厚い酒質ながらバランスの良いシャンパンは、まだ置いても美味しいでしょうね。
(モエ・エ・シャンドン社)


Gosset Celebris
ゴッセ・セレブリス
シャンパーニュ 泡白 (Ch2/3, PN1/3)
('95 \11,650)

 1584年、かつてアイ市長もつとめたピエール・ゴッセにより創業、シャンパーニュ地方で最も古いシャンパン醸造会社がゴッセ社。発泡性ワインが世に知られるようになる1世紀も前からシャンパンを醸造し、現在も伝統の技にこだわり年間50万本を生産しています。コート・デ・ブラン地区とモンタ−ニュ・ド・ランス地区の最も優良な畑のグラン・クリュのブドウを100%使用した同社のプレスティージュがエクセレンス。
 爽やかなグレープフルーツと赤い果実の甘さ。95年というヴィンテージだけに若々しさがあり、酸もシャープなんですが、不思議なほどに果実と泡は柔らかく、口の中でふわっと溶け込む感じがする。ゴッセのスタンダード、エクセレンスと共にお気に入りとなりそうです。
(ゴッセ)


Alfred Gratien Cuvee Paradis
アルフレッド・グラシアン・キュヴェ・パラディ
エペルネ 泡白 (Ch65,PN22,PM13)
(NV \10,000位)

 1864年、アルフレッド・グラシアンが設立。現在はその子孫セイドー家が運営に当たり、ジャン&ニコラ・ジェジェ親子の下、伝統的な醸造を行っています。セイドー家はクリュッグ家より二人のお嫁さんをもらっておりましたし、第一次大戦中には跡取息子のポールが一人前になるまで、クリュッグのシャンパン造りの監督をジャン・セイドー氏が行っていました。それ故か、ここの手法はクリュッグに共通するように古風で、小樽での一次発酵、熟成期間は法定の倍以上の長さ。さらに瓶内二次発酵時にさえコルク栓を打っていると言います(通常のハウスは王冠を使います)。
 ワイン・スペクテイター誌が1993年に出したシャンパン特集で、並みいる強豪を抑え、見事トップに立ったのが「キュヴェ・パラディ」。年間総生産量12000ケースの内、パラディはたったの1000ケース。
 ノン・ヴィンテージながら熟成期間が長いと分かるワインは、グレープフルーツのアロマと、栗や蜂蜜、うっすらとバニラ&クロワッサンの香り。心地よい果実感と余韻での活々した柑橘の酸が爽やかなワイン。個人的には好きなタイプでした。
(アルフレッド・グラシアン)

Laurent-Perrier Grand Siecle Alexandra Rose
ローラン・ペリエ・グラン・シエクル・アレキサンドラ・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (PN,Ch)
('90 \13,000位)

 1812年設立の大規模な家族経営のシャンパンハウス。第2次大戦後、ベルナール・ド・ノナンクール氏(現ローラン・ペリエ社会長)の努力により年産8万本だった売上が700万本までに大躍進。一時は非発泡のワインを生産し業績を伸ばすという経営能力もさることながら、氏の人望により築かれたブドウ栽培農家との信頼関係が高品質なスタイルを確立したといわれます。フランスでは珍しい「人の和」を大切にした経営方針は、企業の利益と従業員の利益を一致させ、年間500万本を達成した時には、ボーイング・ジェット機を借り切り、全社員とその家族をカナリー島への慰安旅行に招待したといいます。そして現在では、あの「サロン」の親会社でもあります。
 非常に多彩なシャンパンを生産するローラン・ペリエの最高級がグラン・シエクル。訳すと「偉大なる世紀」。これはそのロゼで、ローラン・ペリエでは果皮浸漬によりロゼを生産しています。(他の地方では普通でもシャンパーニュ地方では例外的。詳しくはこちらを参照して下さい。)
 サーモンピンクの美しいロゼワインは、かなりシャープ。ドライフラワーのニュアンスと余韻での渋みが、大人の表情を醸し出すワイン。
(ローラン・ペリエ)


Taittinger Comtes de Champagne Rose
テタンジェ・コント・ド・シャンパーニュ・ロゼ
シャンパーニュ 泡ロゼ (PN100)
('95 \15,000位)

 「エレガントなシャンパン」の代表格とされるテタンジェ。1931年、アルザス出身のピエール・テタンジェが、この地を気に入って、造りはじめたシャンパン・メーカー。しかしながら、その前身のフォレスト・フルノー社の歴史は1734年まで遡ります。戦後多角的な経営戦略でめきめきと実力を発揮し、現在では最高級のブドウ畑を各所に所有(全250ha)。クリヨン、アンバサドール等のホテル、クリスタル・グラスで有名なバカラ、銀行のバンク・ド・ルーヴルなどをその傘下に治めています。
 ウダール神父時代の個性的な瓶に詰められた「コント・ド・シャンパーニュ」は有名ですね。これはピノ・ノワール100%で造られるロゼ・シャンパーニュ。
 元気で快活な気泡を持つ、非常に濃さのある茜色。サクランボや杏のような気品漂う香りと熟した果実のほのかな甘さ。厚みのあるアタックと長い酸の余韻、優雅さを感じるプレスティージュ・シャンパン。
(テタンジェ)


Pol Roger Cuvee Sir Winston Churchill
ポール・ロジェ・キュヴェ・サー・ウインストン・チャーチル
シャンパーニュ 泡白 (Ch50, PN50)
('90 \12,000位)

 1849年創業、エペルネの目抜き通り「シャンパン大通り」にある名門。年産約130万本と中規模なハウスですが、それは生産量を限定する家訓を守っているから。現在750haもの自社畑を所有、総生産量の約半分を自社のブドウで賄い、高品質を保っています。
 英国を第2次大戦の勝利に導いた元首相チャーチルは、葉巻とブランデーがシンボルでしたが、それだけでなく、このポール・ロジェの大ファンだったという事で、自慢の競走馬にポール・ロジェと名づけたらしい。以前より英国と縁の深かった同社が、それを記念して1975年から造っている特上物がこのキュヴェ・サー・ウインストン・チャーチル。
 きめ細かな泡立ちのシャンパンは、焼き栗やクロワッサンの熟成した香り。柔らかく大きなボディにグレープ・フルーツのはっきりとした酸味。チャーチルのハードボイルドな印象に、優しさが見え隠れする素晴らしいシャンパーニュ。
(ポール・ロジェ)


Salon
サロン
シャンパーニュ 泡白 (Ch100%)
('85 \13,500位)('88 \12,500位)

 1920年代、パリのマキシムにてハウス・シャンパーニュとして愛飲されたというサロン。創始者ユジェンヌ・エメ・サロンの夢が現代に息づくシャンパーニュ。(このシャンパンはこちらで詳しく特集しています。)
 85年、88年ともに、リリース時の固さがほどけかけ、どんどん美味しくなっているように思います。とにもかくにも、愛すべきシャンパーニュ。90年ヴィンテージがリリースされたようですね。是非試してみたいです。
(サロン)


Louis Roederer Crystal Brut
ルイ・ロデレール・クリスタル・ブリュット
シャンパーニュ 泡白 (Ch40,PN60)
('90 \12,000位)('93 \12,000位)

 シャンパーニュの中心ランスに1760年創業のルイ・ロデレール。自社畑比率ではシャンパーニュでトップ、約8割のブドウを自社畑から供給する堅実、かつ高品質なワインを産み出すメゾン。NVのブリュット・プルミエもとても評判がいいですね。
 ご存知、クリスタルは、ロシア皇帝アレクサンドル2世が、他のものと紛れないように「余のためのロデレールのシャンパンはクリスタルの瓶に詰めよ」と命じたのが始まり。通常シャンパンは光による劣化を防ぐため、濃い色の瓶に詰められていますが、これは透明色。よってオレンジのセロファンに包まれて出荷されます。それがまた高級な雰囲気を醸し出しています。
 やはりクリスタルは素晴らしいです。90年の奥行きの深さ、引き締まったボディ、これぞシャンパーニュという風情。そして93年も活気がありながらもエレガンスを感じるバランス、ワインを下支えする底力のあるイースト香。サロンやクリュッグとは対極のシャンパーニュ・スタイル。
(ルイ・ロデレール社)


Dom Ruinart Blanc de Blanc
ドン・リュイナール・ブラン・ド・ブラン
シャンパーニュ 白泡 (Ch100)
('88 \12,000位)

 シャンパーニュの歴史を語る時、あまりにも有名なドン・ペリニョン師の蔭に隠れがちながら、彼のシャンパン造りの偉業を支えてきたのがドン・リュイナール師。1729年に設立というシャンパーニュでも指折りの旧家。1973年から完全にモエ・エ・シャンドン社の傘下となりましたが、酒造りと経営は従来と変わらず独立して行っています。
 「シャルドネ・ハウス」という愛称を付けられているリュイナールのプレスティージュ格とも言えるのが、このブラン・ド・ブラン。まさしく偉大な白ワインとも言える逸品。香り、味わい共に熟成した要素が強く出たワインは、完熟したフルーツや杏の甘さのある香りと、柔らかでどこまでも広がる果実。「ひねた感じ」というワイン好き最上級の誉め言葉がピッタリで、ブラン・ド・ブランならではの魅力がいっぱい。こんなシャンパンがいつも飲めれば嬉しいですね。まさに好み、おすすめです。
(リュイナール : Ruinart)

Bollinger RD
ボランジェ RD
シャンパーニュ 泡白 (PN75,Ch25)
('85 \15,000位)

 ほとんどのシャンパンの大手が、ランスかエペルネに本拠を置く中、アイ村にあるのが1829年創業のボランジェ。4代目ジャック・ボランジェ(創始者と同じ名前だった)が急逝した後、会社は未亡人のマダム・リリ・ボランジェの手に委ねられましたが、彼女は第2次世界大戦時のドイツ占領下という難局うを乗り越え、見事生産量を2倍に拡大しました。現在では140haの自社畑を所有し、その平均格付けは97%。生産量の70%を自給する堅実なハウス。そしてクリュッグと同じく木樽での1次発酵を行い、しっかりした酒質のシャンパンを生むことでも知られます。
 ボランジェのRDとは「recemment degorge : レサマン・デゴルジュ」の略で、最近澱引きしたということ。7年から10年もの間、瓶の中で澱とコンタクトさせ、裏ラベルには澱引きした日時が記載されます。
 このRDは1999年3月24日にデゴルジュ。やや香りの開きは少なかったものの、フランボワーズのアロマと熟したリンゴの味わい。香りよリ味わいにしっかりとした感触があり、余韻では気品あるリースリングのような酸味。まだポテンシャルが発揮されていないのかな?熟成させてみたいシャンパン。
(ボランジェ)


Henriot Brut Millesime
アンリオ・ブリュット・ミレジメ
シャンパーニュ 泡白 (PN51,Ch49)
('64 \20,000位)
Henriot Rose Millesime
アンリオ・ロゼ・ミレジメ
シャンパーニュ 泡ロゼ(PN55,Ch45)
('90 \7,000位)
 17世紀よりブドウ栽培を手掛ける由緒あるアンリオ家のハウス。設立は1808年で、以来コート・デ・ブランを中心に優良畑を獲得、現在は101haの自社畑から総生産の80%以上を賄う。あまり知られていませんが、非常に評価は高く、かのムートン・ロートシルトが自社のオリジナルシャンパーニュを造らせていたほど。1994年にはモエ=ヘネシー=ルイ・ヴィトン・グループ : LVMH より独立、家族経営のハウスに戻ると共に、ブルゴーニュのブッシャールを取得した事で話題となっています。
 そんなアンリオの64年というヴィンテージ・シャンパン。期待と共に「生きているのだろうか?」と不安もいっぱいでした。しかしそんな思いは、グラスに注がれた瞬間に解消。素晴らしい香りです。焦したキャラメル、ドライフルーツのブーケ。味わいの中にも果実味が生き、偉大な白ワインのよう。しかもベタベタしていない、非常に上品な熟成香。こんなシャンパンを64年生まれの人に飲ませてあげたい。(ただ抜栓後一時間以内がよいと思います。)
 90年のロゼは残念!杏、紹興酒的な甘さ、泡立ちはしっかりあるのですが、酸化のニュアンス。これはボトルの欠陥だといいのですが。
(アンリオ社)


Lanson Blanc de Blancs Gold Label
ランソン・ブラン・ド・ブラン・ゴールド・ラベル
シャンパーニュ 泡白 (Ch100)
('90 \9,000位)

 1760年にランスで創立。創業者のフランソワ・デルモットの息子ニコラに男児が誕生しなかったため、ジャン・バプティスト・ランソンが後を任され、社名をランソンに改めました。家族経営的な色彩を残しつつ、大規模なハウスに成長。年産560万本のうち、55%を輸出、世界130ヶ国で愛飲されるシャンパーニュは個人的にも好きなハウスです。
 ランソンの新しいプレスティージュがこのゴールド・ラベル。格付け100%の3つの畑からのシャルドネを使ったブラン・ド・ブランで、6年以上の瓶熟を経て出荷。非常に綺麗なクリスタルの瓶、ゴールドの装飾が高級感を漂わせています。
 中身も外観に負けず劣らずで、深い黄金色、きめの細かな泡立ち。草原を感じる爽やかさ、ルッコラや小豆のような複雑な香りもあり、スタイリッシュな中にもワインの層を感じます。あの三ツ星シェフ、アラン・デュカス氏がランソンを推奨するのも頷けます。
(ランソン社)


Jeanmaire Elysee
ジャンメール・エリゼ
シャンパーニュ 白泡 (Ch100%)
('85 \15,000位)

 ジャンメール社は、古い歴史、そして大規模なハウスがひしめくこの地方で、1933年に設立された比較的新しいハウス。アンドレ・ジャンメールにより興された当時はコート・デ・ブラン地区のメニル・スール・オジェ村に本拠を構え(今ではエペルネに移っている)、戦後順調に業績を伸ばし、今では格付け100%クリュ18haを含む80haの自社畑を所有。この特醸物「エリゼ」は、アヴィズとクラマンの格付け100%クリュのシャルドネだけを用いたブラン・ド・ブラン。
 ワイン会で供されたエリゼは、ノーチェックのハウスだったので、とても嬉しかった一本。繊細なスタイルだとは思いましたが、ブラン・ド・ブランとは思わなかったです。フレッシュでエレガントかと思えば、かなり頑固で湧き上がるようなボディを持つ不思議なシャンパン。金属メッシュのボトルカバーは凄いデザイン、中身も負けずにかなり個性的。
(ジャンメール社 : Jeanmaire)


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