March,2001 (2)

オーストラリア特集 Vol.2
White, Sweet, Port etc.

Penfolds Grandfather Port Grand Old Vintage
Chambers Rosewood Vineyards Rutherglen Muscat
Chambers Rosewood Vineyards Rutherglen Tokay
Chambers Rosewood Vineyards L.B.V. Port '91
Henschke Cranes Eden Valley Chardonnay '99
Grosset Polish Hill Riesling '98
Elderton Riesling Eden Valley '99
d'Arenberg The Peppermint Paddock (Sparkling Red Chambourcin)
Jacob's Creek Chardonnay '00
Jacob's Creek Shiraz Caberbet '99
Rosemount Chardonnay Show Reserve '98
Rosemount Semillon Chardonnay '98
The Rothbury Estate Hunter Valley Semillon '97
McWilliam's Show Reserve Vintage Port '74
Brown Brothers Late Harvest Orange Muscat and Flora '99
Brown Brothers Late Picked Muscat Blanc '99
Redbank Long Paddock Chardonnay '95
Pierro Chardonnay '98
Omrah Unoaked Chardonnay '98

(特にお気に入りのワインには マークを付けています)


Australia-South Australia


Penfolds Grandfather Port Grand Old Vintage
ペンフォールド・グランドファーザー・ポート・グランド・オールド・ヴィンテージ

サウス・オーストラリア ポート (シラーズ)
(NV \8,000位?)

 日本への輸入量は少ないものの、オーストラリアでは伝統的にポートワインを生産しています。ペンフォールドも当然ポートを造っています。これはオーストラリア土産で頂いたもの。
 これはいいなあ。トゥニーに近いランシオ香とヴァニリンなオーク、豊かでリッチな味わいは楽しい気分になる、素直に美味しいと言えるポートでした。
ペンフォールド社 : Penfolds Wines


Chambers Rosewood Vineyards Rutherglen Muscat
チャンバーズ・ローズウッド・ヴィンヤーズ・ラザグレン・ミュスカ

ラザグレン 甘白 (ミュスカ)
(NV \1,960 375ml)

Chambers Rosewood Vineyards Rutherglen Tokay
チャンバーズ・ローズウッド・ヴィンヤーズ・ラザグレン・トケイ

ラザグレン 甘白 (トケイ)
(NV \1,960 375ml)


Chambers Rosewood Vineyards L.B.V. Port (Bottled 1996)
チャンバーズ・ローズウッド・ヴィンヤーズ L.B.V. ポート

ラザグレン ポート (シラーズ)
('91 \3,460)

 ウイリアム・チャンバーズによって1858年に創立された歴史あるワイナリー。ラザグレン地区は、ヴィクトリア州の北東に位置し、ニュー・サウス・ウェールズ州の国境近くまでの広範囲にあります。この産地の特徴である、長く暑い夏は、ブドウの成熟を完璧に仕上げ、彼はここで最高の酒精強化ワインを造りだします。現在の5代目当主でワインメーカーのビル・チャンバーズは、秀でたテイスティング能力の持ち主でもあり、オーストラリアで行われるワインの品評会では審査員として敬意を表されています。R. パーカー氏の言葉を借りれば「ビル・チャンバーズはフォーティファイド・ワイン生産者として、議論の余地もなくキングである」とのこと。チャンバーズのフォーティファイド・ワインはずっと飲んでみたかったもの。アルコール度数はミュスカが18%、トケイ、ポートが19%。
 ミュスカ : ミュスカという品種は、果皮の色がピンクや黒だったりという事があるそうですが、このワインもレンガがかったロゼワインのような色をしています。オレンジ・ピール、コニャック、消毒液のような香り。高い粘度があり、ヨードの旨味。
 トケイ : オーストラリアで「Tokay」というと、どうやらボルドーで栽培されているミュスカデル種(セミヨン、ソーヴィニヨン・ブランと並んでボルドーの甘口ワインとなる品種)のようです。これもブランデーに近い色をして、熟したフルーツやバラの花、味付け海苔の香りが面白い。
 両方とも甘味の強い口当たりですが、アルコール感が後口を流してくれます。余韻は酸味があるので、必要以上にはしつこくないバランスを持っています。是非お試しください。
 L.B.V. ポート : 1991年産、1996年に瓶詰めというレイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート。今の時点で5年の樽熟、5年の瓶熟なので、すでに飲み頃となっていてもいいはずなのですが・・・いやいや、この果実の強さにビックリです。深々とした色合い、凝縮された力強いフルーツ香と甘さ。余韻でのアルコールがドライに感じるほど。これはもっと瓶で置いておくと面白いでしょうね。
(チェンバーズ・ローズウッド・ヴィンヤーズ : Chambers Rosewood Vineyards)


Henschke Cranes Eden Valley Chardonnay
ヘンチキ・クレインズ・エデン・ヴァレー・シャルドネ

エデン・ヴァレー 白 (シャルドネ100%)
('99 \3,500位)

 ペンフォールドのグランジに対抗しうるシラーズとして一番に名前の挙がるのが、ヘンチキのヒル・オブ・グレイス [Hill of Grace] 。1860年代中頃から南オーストラリア、バロッサ・ヴァレーでワイン造りを始めたヘンチキ家は、4代目シリルの時、高品質なスティルワインの生産に注力し、1958年に名高いヒル・オブ・グレイスが生まれました。今では樹齢130年というシラーズ100%から生まれるワインは、5代目当主ステファンの手により、伝統を受け継いでいます。ヘンチキはケイントン、エデン・ヴァレー、レンズ・ウッドの標高の高い、冷涼な気候の地区に100haの畑を所有。ヒル・オブ・グレイスの畑に入る時はフィロキセラを持ち込まないよう、特製の靴袋を履かされるとか。
 これはエデン・ヴァレーのシャルドネ100%で造られる白。控えめなナッツと青草。クリアーな香りに対し、残糖感のあるふくらみを感じるボディ。若さゆえか、舌の上で落ち着きのなさを感じるものの、ミネラリーで丹念に作られたイメージを持つワイン。
ヘンチキ : C.A. Henschke & Co.


Grosset Polish Hill Riesling
グロセット・ポリッシュ・ヒル・リースリング

クレア・ヴァレー 白 (リースリング)
('98 \3,000位)

 グロセットは1881年に創設されたブティック・ワイナリー。特に年間生産量約8000ケースの半分を占めるリースリングは世界各国で高い評価を得ており、ジェフリー・クロゼット氏自身は1998年に、オーストラリアのワイン・マガジン誌で「オーストラリアン・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた他、ドイツで行われたリースリング・サミットでは「リースリング・ワインメーカ一・オブ・ザ・イヤー1998」も獲得しています。
 本当にこのワインは素晴らしいと思います。良質なニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランにも共通する透明感と立体感。リースリング特有のゴム、すがすがしいライムの柑橘系。輝きのあるワインは熟したトロピカルフルーツの甘ささえ感じます。
 グロセットでは、2000年ヴィンテージからコルクダメージを防ぐため、従来のコルクに替わってブルーの「ステルヴィン」(スクリューキャップ)を採用するという事。新しき挑戦を見守りたいと思います。
グロセット : Grosset


Elderton Riesling Eden Valley
エルダートン・リースリング・エデン・ヴァレー

エデン・ヴァレー 白 (リースリング)
('99 \2,000位)

 1900年代前期に創立された歴史あるワイナリーのエルダートン。最初に植えられたシラーズは1939年という事で、今では約28haの畑を持ちます。特に赤ワインの評価は高く、コマンド・シラーズ [Command Shiraz] を筆頭にカベルネ、メルローなどを生産。赤はバロッサ・ヴァレー、白はエデン・ヴァレーのブドウを使用。
 このリースリング、ワイン好き8名がブラインドで飲んで誰一人としてリースリングと答えなかったのですが、ワインとしてはバランスの良い引き締まった果実と柑橘系の酸味が美味しく、ややオイリーな感じのフィニッシュ。オーストラリアの造り手の個性を感じる一本でした。
エルダートン : Elderton


d'Arenberg The Peppermint Paddock (Sparkling Red Chambourcin)
ダーレンベルグ・ザ・ペパーミント・パドック(スパークリング・レッド・シャンブルサン)

マクラーレン・ヴェール 赤泡 (シャンブルサン)
(NV \2,700位)

 1912年、現在のマクラーレン・ヴェールにジョセフ・オズボーンが創立した重要なワイナリー。著名な「レッド・ストライプ」をまとったワインは、数多くのコンテストにてメダルやトロフィーを獲得。高品質かつ安定したワイン造りで知られます。
 このペパーミント・パドックはちょっと変わった赤の発泡酒。現地ではクリスマスシーズンにローストチキンと一緒に飲まれているようです。カシスのカクテルのようなワインで、ベリー系の果実は甘さがあって、かつ嫌味はありません。赤の発泡酒って、良いイメージがなかったのですが、これはなかなか美味しいですよ。ちなみにシャンブルサンというブドウは、フランスで開発された比較的新しい交雑品種で、オーストラリアのワインに見かけられます。
ダーレンベルグ : d'Arenberg

Jacob's Creek Chardonnay
ジェイコブス・クリーク・シャルドネ

ハンター・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('00 \950位)

Jacob's Creek Shiraz Caberbet
ジェイコブス・クリーク・シラーズ・カベルネ

ハンター・ヴァレー 赤 (シラーズ、カベルネ)
('99 \950位)

 1828年に英国人G.ウインダムが開いたハンター・ヴァレー最古のウインダム社。そして1847年にドイツ人J.グランプがバロッサ・ヴァレーに創設したオーランド社。このオーランド社が1990年、ウインダム社を買収し誕生したのが、オーランド・ウインダムでオーストラリアを代表する大グループとなっています。「世界で一番売れてるオーストラリア・ワイン」がこのジェイコブス・クリーク。オーストラリア国内での販売量も第一位、輸出されるワインの4本に1本がこの銘柄だと言います。
 やはり売れるという事は、多くの人に好まれるワインで、チャーミングな甘さとバランス感のよいシラーズ・カベルネ。フルーティーで余分な重さのない辛口のシャルドネ。
(オーランド・ウインダム : Orland Wyndham)

【オーランド・ウインダム・グループのワイナリー】
Jacob's Creek, Wyndham Estate, Gramps, Poet's Corner, Richmond Grove, Montrose, Craigmoor, Morris, Carrington, Trilogy, Russet Ridge, Coolabah, Maison, Saint Range, Wild Peach Cooler, Steingarten, Jacaranda Ridge, Centenary Hill, Lawson's, RF Range

Australia-New South Wales


Rosemount Chardonnay Show Reserve
ローズマウント・シャルドネ・ショー・リザーヴ

ハンター・ヴァレー 白 (シャルドネ)
('98 \4,500位)

Rosemount Semillon Chardonnay
ローズマウント・セミヨン・シャルドネ  

ハンター・ヴァレー 白 (セミヨン65%、シャルドネ35%)
('98 \1,500位)

 1864年、ドイツから移住したカール・ブレシュトがアッパー・ハンター・ヴァレーに最初の葡萄を作付けし「ローズマウント・ヴィンヤード」と名づけたのが始まり。1969年、パプア・ニューギニアでのコーヒー栽培で成功を収めたロバート・オートレーがこの土地を購入、この土地が葡萄栽培に適していることに着目し、国際レベルのワイン生産を目標にワイン事業を開始。現在、アッパー・ハンター・ヴァレーにあるデンマン醸造所と、南オーストラリア州マクラーレンヴェールにあるライクロフト醸造所の2か所にあります。醸造家のフィリップ・ショー氏は、数々のコンペテションで「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」賞を受賞し、彼が生み出すワインもまたメダル獲得の常連となっています。
 シャルドネ・ショー・リザーヴ : フィリップ・ショー氏の名を冠した上級キュヴェがショー・リザーブ・シリーズ。オーストラリアらしいフルーツのアロマとワインに溶け込んだ樽香が好ましく、たっぷりとした果実をキレイに酸がまとめている美味しいシャルドネです。
 セミヨン・シャルドネ : オーストラリアの重要な白ブドウ、セミヨンとシャルドネのヴァラエタル・ブレンドワイン。爽やかな果実香にシャルドネの厚みが程よくマッチングしたワイン。オーストラリアならではのブレンドに納得。
ローズマウント・エステイト : Rosemount Estate


The Rothbury Estate Hunter Valley Semillon
ザ・ロスベリー・エステイト・ハンター・ヴァレー・セミヨン

ハンター・ヴァレー 白 (セミヨン)
('97 \1,900位)

 1968年創立。オーストライアのワインライター、レン・エヴァンズ氏と友人達が「自分達が飲みたいワインを自分達で造ろう」という考えの元に設立されたというワイナリー。当初からこのハンター・ヴァレーの地で偉大なるシラーズとセミヨンを造りだすことを目指していたと言います。現在では200haの畑を持ち、カウラ・シャルドネ [Cowra Chardonnay] を中心に高い評価を受けています。
 青リンゴやリースリングのような鉱物的なキレのある香り。十分なフルーツを柑橘系のすっきりとした酸が整える旨さ。印象的だけど飲みあきない、セミヨンの個性を実感できます。
ザ・ロスベリー・エステイト : The Rothbury Estate


McWilliam's Show Reserve Vintage Port
マックウイリアムズ・ショー・リザーヴ・ヴィンテージ・ポート

ローワー・ハンター・ヴァレー ポート (カベルネ・ソーヴィニオン)
('74 \6,000位)

 マックウイリアムズは、1877年創業の老舗ワイナリー。マウント・プレザント等の銘柄で、多くのメダルを獲得、高い評判を得ています。
 ボトルデザインが素晴らしい1974年物ヴィンテージ・ポート。先日のBVC東海支部会の二次会で頂いたもの。煮詰めたカシスの風味、何故か潮風、昆布のニュアンスがあり「何かに似ている?」と思ったら少し前に頂いたカリフォルニア、ベリンジャーのカベルネ・ソーヴィニオンから造られたポートワイン。このワインも調べたら、カベルネ・ソーヴィニオンで造られていました。凝縮された旨味は、まさに飲み頃を思わすオーストラリアン・ヴィンテージ・ポート。この国のポートも興味が湧いてきました。
マックウイリアムズ・ワインズ : McWilliam's Wines

Australia-Victoria


Brown Brothers Late Harvest Orange Muscat and Flora
ブラウン・ブラザーズ・レイト・ハーヴェスト・オレンジ・マスカット・アンド・フローラ

ミラワ 甘白 (オレンジ・マスカット、フローラ)
('99 \2,600位)

Brown Brothers Late Picked Muscat Blanc
ブラウン・ブラザーズ・レイト・ピックト・マスカット・ブラン

ミラワ 甘白 (マスカット)
('99 \1,400位)

 前回でも紹介したブラウン・ブラザーズ。多くのブドウ品種を手掛けるこのワイナリーのポピュラーな甘口ワイン2種。
 オレンジ・マスカット・アンド・フローラ : オレンジ・マスカット種とフローラ種という、栽培量が少ない珍しいブドウで造った遅摘みワイン。「オレンジの花の香り」という説明通り、ややオイリーで雑味のない甘さとキレイな余韻が美味しい甘口。
 マスカット・ブラン : 甘さはデザートワインというより、イタリアのモスカート・ダスティに近いさらっとした甘さ。重くないので、食中だけでなくいつでも飲めるワイン。これからの季節、野外できゅっと冷やして飲んでも美味しいと思います。
ブラウン・ブラザーズ : Brown Brothers


Redbank Long Paddock Chardonnay
レッドバンク・ロング・パドック・シャルドネ

ヴィクトリア 白 (シャルドネ)
('95 \2,500位)

 ヴィクトリア州ピレニーに拠を構えるレッドバンク。赤のサリーズ・パドック [Sally's Paddock] が1997年のロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジにてゴールドメダルを獲得しています。
 これは、レッドバンクが造るシャルドネ。ヴィクトリアの個性なのか、引き締まった果実とミネラル。バランスがよく、時間が経つとほんのりと甘さが感じられます。オールマイティーなシャルドネだと思います。
レッドバンク・ワイナリー : Redbank Winery

Australia-Western Australia



Pierro Chardonnay
ピエロ・シャルドネ

マーガレット・リヴァー 白 (シャルドネ)
('98 \4,600)

 1980年創立、西オーストラリア、マーガレット・リヴァーで高い評価を受けるピエロ。オーナーのマイケル・ピーターキンは、ヨーロッパの伝統的な手法を用いながら、現代農学のエコロジカルな方法によりブドウ栽培を行う。この'98シャルドネは、オーストラリアのベスト5に挙げられるとか。他にセミヨン・ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなども生産しています。
 アンニュイな表情のピエロが描かれたラベル。裏には「トースト、バタースコッチ、ピーチ」のアロマと記されていますが、まさに蜂蜜系の香りにフルーツがうまく混ざり、アルコールのヴォリューム感が印象的。余韻に樽の渋みとローストが感じられ、噂にたがわぬ素晴らしさ。今までに頂いたオーストラリアのシャルドネの中でも、好みの一本。ちょっと高いですが、是非試してみて下さい。
(ピエロ・マーガレット・リヴェー・ヴィンヤーズ : Pierro Margaret River Vinyards)


Omrah Unoaked Chardonnay
オムラ・アンオークド・シャルドネ

マウント・バーカー 白 (シャルドネ)
('98 \2,000)

 西オーストラリアの最南端マウント・バーカーにあるプランタジェネット。1968年に最初の作付けが行われ、1974年ワイナリーを創設。世界的にオークの小樽で発酵・熟成したボリュームのあるシャルドネが人気ですが、最近では西オーストラリアを中心に、オーク樽を使わないワイナリーも出てきているようです。
 このワインもアンオークド、樽熟していないワイン。樽になれた舌にはやや物足りなさがあるかもしれませんが、オーストラリアならではの丸さもあり、やさしいアロマ。口当たりの良い果実、爽やかな余韻に好感が持てます。
(プランタジェネット・ワインズ : Plantagenet Wines)


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