Issue Date : Dec.2001

THE BEATLES
(George Harrison)

ジョージ・ハリスン死去

 元ビートルズのギタリスト、ジョージ・ハリスンが2001年11月29日午後1時半(日本時間30日午前6時半)、喉頭がん、肺がん、脳腫瘍の合併症により、ロサンゼルスの友人宅で死去した。享年58歳。

 個人的にHPを始めようと思ったのは、音楽のページを作り、自分のアルバム・ストックをまとめるつもりでスタート。そこでまず着手しようとしたのがビートルズ。間違いなく私にとってはすべての音楽の出発点といえる存在。
 しかし、HPの構想を考えた時、すでにビートルズのHPは星の数ほどあった。様々なミュージシャンの中でも、これだけ多くのファンがHPを作っているのも凄い。熱狂的な愛好家が多く、ビートルズの情報に関しては、彼らのHPを見ている方が楽しかった。だから敢えて今まで取り上げようともしなかったのですが、今回のジョージ死去のニュースを聞き、様々な思い出が蘇った。

 12月8日は終戦記念日、そしてジョン・レノンの命日でもある。丁度、トップに「seasons greeting」というFlashページを作り、ジョンのことを思い出していた時に入って来た悲報。久しぶりの音楽ページの更新は、ビートルズとジョージ・ハリスンの回想録。


音楽との出会い


The Beatles at The Hollywood Bowl
<SIDE 1> Twist And Shout / She's A Woman / Dizzy Miss Lizzy / Ticket To Ride / Can't Buy Me Love / Things We Said Today
<SIDE 2> Roll Over Beethoven / A Hard Days's Night / Help! / All My Loving / She Loves You / Long Tall Sally

 1977年のある日、ラジオから「今日はビートルズのライブをお届けします」というMC。そう、その年にビートルズ唯一の正式盤として発売されたライブ「The Beatles at The Hollywood Bowl : ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ! 」がラジオで放送される瞬間。「ビートルズかぁ、ちょっと録音してみよう」となんとなく録音した一本のカセット・テープ。それが洋楽との出会いでした。

 そのテープを聞き、思わずレコード屋さんへ。当時まだ中学一年だった私にとって、最も覚えやすかったタイトルが「ヘルプ!」。そのアルバムを手にとって以来、お小遣いはすべてビートルズのレコードに変わっていきました。

 ビートルズのLPをほぼ全て揃えた頃には、Hollywood Bowlのテープも擦り切れて聴けない状態になったので、このアルバムも購入することに。しかし高校生の時、ビートルズの曲を演るという友人にあげてしまった!今から思えば後悔先に立たず。このライブ盤、未だにCD化されていないんです。現在唯一手元にない正式盤は、音楽との出会いの一枚。


ビートルズ日本公演


Rubber Soul (1965)

Produced by George Martin

<SIDE 1> Drive My Car / Norwegian Wood (This Bird Has Flown) / You Won't See Me / Nowhere Man / Think For Yourself / The Word / Michelle
<SIDE 2> What Goes On / Girl / I'm Looking Through You / In My Life / Wait / If I Needed Someone / Run For Your Life

 その翌年(1978年)、新聞のテレビ欄に「ビートルズ日本公演」という見出しが。ビートルズは、1966年6月29日から7月3日にかけて来日し、日本武道館で計5回のコンサートを行いました。日本テレビはこの模様を生で中継したらしいのですが、それ以来、初めてのテレビ放送ということ。当時はビデオなんてものもなく、大事にしていたカセット・レコーダーで、思わず発しそうになる声を堪えながら、静かにテレビ画面を見つめ録音したのが思い出されます。

 ビートルズの日本公演自体は、その後に行われたアメリカ公演のウォーミング・アップみたいな感じだったらしく、非常にあっさりした選曲。演奏曲目は以下の通り。

 Rock And Roll Music / She's A Woman / If I Needed Someone / Day Tripper / Baby's In Black / I Feel Fine / Yesterday / I Wanna Be Your Man / Nowhere Man / Paperback Writer / I'm Down

 私自身も「なんで Hard Days's Night も Help も She Loves You も演らないのだ!」と思ったものの、それ以上に映像で見た4人のビートルのかっこいいこと。そしてマイクがちゃんと固定されてなくてズリズリ動くのが妙に笑えた。

 そんな日本公演の中で、お茶目で愛嬌いっぱい、ファンの声援に応える手の振り方がとってもラブリーだったのが、ジョージ・ハリスン。彼がリードをとった曲がラバー・ソウルに収められている「If I Needed Someone」で、ジョージのことを「こいつ、絶対いい奴だな!」とその時思った。

 日本公演時の最新アルバムだったラバー・ソウルは、前期、中期、後期と分けられる作品の中で、前期から中期への音楽スタイルの変化を垣間見れる一枚。ヘルプまでの5枚が「陽」だとしたら、ラバー・ソウル以降「陰」の部分が現われ始め、独自性を追求するようになっていった。

 レノン&マッカートニーの偉大なる二人が中核となっていたビートルズですが、こうした変化に音楽的なエッセンスと影響力を与えたのが、ジョージだと思う。そしてビートルズ在籍時代に作った彼のバラードはとてもピュアな魅力を持っていた。

HERE SOMES THE SUN, SOMTHING, WHILE MY GUITAR GENTRY WEEPS and so on...


ジョージ・ハリスン


All Things Must Pass (1970)

Produced by George Harrison & Phil Spector

<SIDE 1> I'd Have You Anytime / My Sweet Lord / Wah-Wah / Isn't It A Pity (version one)
<SIDE 2> What Is Life / If Not For You / Behind That Locked Door / Let It Down / Run Of The Mill
<SIDE 3> Beware Of Darkness / Apple Scruffs / Ballad Of Sir Frankie Crisp (Let It Roll) / Awaiting On You All / All Things Must Pass
<SIDE 4> I Dig Love / Art Of Dying / Isn't It A Pity (version two) / Hear Me Lord
<SIDE 5> Out Of The Blue / It's Johnny's Birthday / Plug Me In
<SIDE 6> I Remember Jeep / Thanks For The Pepperoni

 ジョージはインド神秘主義に傾倒し、シタール等の東洋音楽を取り入れたことはよく知られています。解散後は積極的にソロ活動を展開、1971年には、リンゴ・スター、エリック・クラプトン、ボブ・ディラン等のスターが集結しバングラデシュ難民救済コンサートを行いました。

 ポールのビートルズ脱退宣言後、ジョージはアルバム「All Things Must Pass」の製作に取り掛かります。このアルバムは現在CDでも再発され2枚組に、そしてジャケットはカラーになっていますが、オリジナルのレコードでは、セピア色の白黒ジャケット、LP3枚組のボックス仕様になっていました。

 発表と同時に大反響を呼び、米英両国でチャート1位を獲得したジョージのソロ代表作ともいえる作品は、LP2枚分のオリジナル曲、1枚のジャム・セッションという大作。参加ミュージシャンは、リンゴ・スター、デイブ・メイスン、ビリー・プレストンといった錚々たるメンバー、そして当然のように盟友エリック・クラプトンのクレジットも。

 ジョージの悲報を聞き、久しぶりに針を落とした「All Things Must Pass」。このアルバム製作時、彼はまだ27歳。なんと堂々と落ち着いたアルバムなんだろう。名曲「My Sweet Lord」、ジョージの切実な愛が伝わる「What Is Life」、そしてレイド・バックした大人の余裕さえ感じられる3枚目のアップル・ジャム。彼は生前、いつもこう言っていたという。

Everything else can wait, but seeking God, and love one another.

 人を愛しづつけたジョージは、いつの時代も愛される人だったような気がする。ジョンに続いて失った二人目のビートル。「All Things Must Pass」なんて皮肉なタイトル。でもジョージはいつまでもこのアルバムと共に生き続ける。


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