人間として大切なこと

2012年9月15

これまで、私たちは何の変哲もない一日を何年も、何十年も過ごしてきた。自分の人生はそうして費やされていくものだという思い込みがありました。たとえ、突発的な事件や出来事が起こったとしても、それはごく一時的な逸脱であり、またもとの日常生活へもどっていくものだと考えていたはずです。
東日本大震災以後、日本列島全体がどことなく崩れていくような感覚に襲われることはないでしょうか。今後四年以内に首都圏で発生すると予想される地下直下型地震や東南海地震などを想定されるなど私たちにはいつどのような形で決定的な災難に遭遇するかわかりません。東日本大震災の耐え難い苦しみや悲しみ、ひどい挫折、人の死に遭遇した際の絶望と慟哭・・・・・。

特に戦後科学と技術は確かに驚異的な復興と経済成長を実現させ、世界中が驚愕するような豊かさをもたらしました。しかし、資源エネルギーの問題で技術革新と経済の発展に寄与した原子力発電は今回の「原発事故」で大きな汚点を残しました。それは廃棄物の問題です。今後耐用年数を過ぎた原子炉である。人間にとって死活の重要性を持つ問題に誰も論じようとしない。その問題とは、原子炉が壊すことも動かすこともできず。そのまま、たぶん何百年もの間、あるいは何千年の間放置しておかなければならないこと、そして空気と土壌と水の中に放射能を漏らし続け、あらゆる生物に脅威を与え続けることです。技術やシステムの不具合によって起こったという言い訳は許される問題ではありません。人間の叡智によって自然はすべて制御可能だと考え、度を超えた開発を進めました。人間は万能ではありません、限界があるということです。我々はその気持ちをいつからか忘れてしまいました。そのあげくに「311」の震災と原発事故に見舞われたのです。
科学や技術の力で自然を制御できると考えたことに大きな間違いがあったのです。人が人為的に作ったもの、たとえば、会社や地域共同体、国家などです。産業、制度、政治、科学技術など、こうしたものは人間が作り上げたものですから、それをよく知っているのは人間であり、責任を持って管理しなくてはなりません。
  原発稼働の問題は経済的な価値を極大化することが、最優先課題になっているのではないでしょうか。経済発展も欠かせませんがそれ以上に人の「いのち」に関わる問題です。人は夢と希望をもって生きなければなりませんが、幸福とは少し意味が違います。

人それぞれ自分にしかない価値・創造を持っています。その価値が発揮されたとき幸せを感じるのであってそれは過去のことだと私は思います。人生は苦難なのです。苦難を乗り越えた時、つまり自分の価値、能力を発揮し物事が達成した時幸せを感じるのではないでしょうか。それはみな振り返った過去のことなのです。

人間の価値とは、いつまでも夢と希望を持ち続けるかにかかっているのです。しかし、幸福を追い求めて生きても達成できることはありません。東日本大震災に合われた方々も起きる前は幸せだったと思われたことでしょう。一瞬にして人の死や苦しみ、悲しみに遭遇し、人間の生きる意味すら分からなり一時は絶望的と没落まで経験された方がいらっしゃるのではないでしょうか。冷静に考え、人の「いのち」と経済発展を天秤にかけるわけにはいきません。目先のことにとらわれるのでなく遠い未来の人が安心して住める社会を作ることに力を注ぐことではないでしょうか。
   原発が危険をはらんでいるとしたら当然「原発ゼロ社会」を目指すべきでしょう。選挙目当ての「原発ゼロ社会」ではだめなのです。また、首都直下型地震や東南海地震が予想されるとしたらなおさらのことです。同じ事故が発生したら日本という国は人の住めない島になってしまうからです。原発事故によって科学の信頼が失われ多くの国民が不安に駆られるようになりました。また、地球温暖化により超大型台風(風速70m以上)がいつ直撃するかもわかりません。人間の想像は自然の驚異から考えると想像できません。

政治が国民を信頼する。そのためには、国民がきちんと判断できる情報、それは政治家のパフォーマンスとかではなく、自分たちの国や地域がいまどうなっているのか、また、将来どうなるのかを具体的に伝えることが必要なのではないでしょうか。

政治に限らず責任ある人の人間としての資質が昔と比べて低下しているといわれています。本当に心から信頼できる人が少なくなっているということだということです。次世代に模範となる人が責任ある地位にいないということではないでしょうか。

東日本大震災の発生した時の国の対応、刻々と伝えられる情報、当時の官房長官の嘘の猿芝居、皆さんはどう感じられたでしょう。信頼できる情報と思われたとしたらよほど真面目な人か日本の情報社会を知らないかどちらかです。東日本大震災の教訓は次に万一起きるかもしれない災害に生かせるか今までの原因究明ではまず不可能です。

大飯原発再稼働の安全基準は一般には公表されていません。なぜ、国民に知らされないのでしょう。知られて都合が悪いから隠したり、嘘の情報は政治家、官僚にしか通用しない世界なのだ。それで平然と仕事を続けているのだから人間としての信頼はゼロと言わざるを得ない。企業ではいかに正確な情報をいち早く伝えるかによってすべて生き残りの運命がかかっている。以前にも記載したように超円高や政治の混迷から各地の工場は閉鎖し海外へと拠点を移動せざるを得ない。地方では多くの雇用が失われている。貿易自由化路線も足踏み状態、アジア太平洋経済連携の流れからも遅れ、韓国にも遅れを取った、経済が内向きになっていると、その経済は活力を失っていく、それがグローバル経済の現実である。